出版社内容情報
エースのジョーが書き下ろした若き日の自伝的小説
1954年、日活ニューフェース1期生宍戸錠。大部屋俳優から成り上がるためシシドがとったのは顔にメスを入れることだった。エースのジョーの若き日々を綴った自伝的小説。
内容説明
たとえその顔にメスを入れても、シシドにはつかみたい“ナニカ”があった。だが思い切った手術の末に、彼がつかんだモノとは…。1950年代、日活。石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎らが銀幕で活躍する中、デビューはしたものの下積みの日々を送るニューフェイス第1期生の宍戸錠。果たして自分はスターになれるのか?昭和を代表するアクション俳優が、若き頃の苦闘を大胆な文章で振り返った青春小説の傑作。
著者等紹介
宍戸錠[シシドジョウ]
1933年生まれ。54年、日活撮影所ニューフェイス第1期生。55年のデビュー以来、石原裕次郎、小林旭、赤木圭一郎らとダイヤモンドラインとして活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
16
A エースのジョーこと宍戸錠による自伝風、日活撮影所物語。芸術かぶれの若者が、戦後の日本映画産業というシステムの中で成功を収めるまで、のはずが、これからという所で終わってしまう。鈴木清順とのコンビによる作品しか見ておらず、代表作は『殺しの烙印』でしょ、とか言ってしまう後追い世代(自分のこと)こそ、本書を手に取るべき。テレビが一般に普及する直前の映画の黄金時代の熱気が伝わる。毎週のように新作が封切りとなり、スターが次々と誕生する。その裏で、虎視眈々とスターを目指すシシドの苦悩。必要以上に情報が詰まった注も◎2012/12/05
gtn
11
俳優になるためなら何をしてもいいと田中絹代に示唆され、豊頬手術に踏み切る。その結果、小鼻が下がり、笑い顔が引きつるようになったため、手術を重ねる。「ワカッタ。もっと醜くなればいいんだ」と思い詰めるシシド。役者の業を見る。2019/10/13
midnightbluesky
9
実録小説だからちょっと残念なフィクションと思われる箇所もあるが、当時の状況はうかがえる。赤木圭一郎に関するエピソードを読むと、この人、生きていたらどんな風になったのかな?2012/12/06
すす
1
最近、アマプラで小林旭さんの作品ばかり観てるので当然、宍戸錠さんにも興味がわき読ませて頂いた。 めちゃくちゃ面白い。当時の映画界の状況、日活の躍進、若き熱い役者たちの息吹が伝わってくる。日活ってロマンポルノの印象が強かったけど風雲児的な存在だったんだね。そこに集まるシシド含むギラギラした役者たちも強烈。人間関係も興味深い。 その中でも石原裕次郎さん。これ程大きな存在とは知らなかった。 芸能人にも聖人君子を求める今の世の中。銀幕のスターも居なくなったし、当時の日本の熱気が羨ましい。 2022/05/10
まさやん80
1
宍戸錠の自伝なのだが、敢えて当時の映画の置かれた状況にまで手を広げて、小説の形にしている。でも、面白いのは圧倒的に宍戸錠本人が関わるエピソード。でも、俯瞰的な描写を狙っているからか、本人の描写に突っ込みが足りない。もっと個人目線満載の小説にした方が良かったと思う。豊頬手術を受ける件も、もっと葛藤があったはずなのだが、意外にあっさりしている。 それにしても、当時流行していた「さかさま言葉」が頻発するのは読みにくいな。2020/12/21