出版社内容情報
美しく切なく、驚きに満ちた、著者渾身のミステリ!!
函館の西郊に海を臨んで建つ邸宅。3代続く老舗宝石店の遺産をめぐり、家族の謎が明らかになる……。鮮やかな叙述で導かれる驚愕のラスト。著者渾身のミステリー!
内容説明
わたしは、ミギワは、自分の顔が嫌い。醜い醜いこの顔が嫌い。函館の西郊で海に臨んで建つ邸宅、雪華荘。かつて栄華を誇った宝石商の一族が所有する邸だ。その一室で、18歳の藤吉汀はひっそりと暮らしている。病に倒れ身体の自由がきかなくなった父、財産目当ても明らかな後妻と、その子供たち。汀は苦しい胸の内を、たった一人の兄に語ろうと、手記をしたため始めるが…。鮮やかな叙述で導かれる衝撃のラスト!著者渾身のミステリ。
著者等紹介
篠田真由美[シノダマユミ]
1953年東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。92年『琥珀の城の殺人』でデビュー。以降、ミステリ、伝奇小説、ファンタジー小説など幅広く執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スカラベ
65
舞台は「函」館山の裏側に建つ雪華荘。物語は、そこに籠りひっそりと暮らす藤吉汀(みぎわ)の手記という形で語られる。病に伏せ看護を受ける宝石商の父の遺産を巡り、後妻やその娘との確執、兄の失踪の謎を経て、衝撃のラストが明かされる。途中の展開は説明的な文章が多くやや冗長なところもあり読むスピードは上がらなかった。真相はとても鬱屈として、心が暗く薄い膜に覆われ閉ざされてしまうような印象。読後感は良くない。筆者があとがきで書いてるように、語り手の手法をとる限り、物語は主観という小さな「函」に閉ざされてしまうのだろう。2017/11/04
カムイ
45
この作家はある女性に薦められ読んだのがあれから20年前(大分古い話です😅)彼女の作品には建築をめぐるミステリー作品がいくつがありますけど、この作品も古い洋館での事件が発生ですがそれは過去の話。カムイは函館を舞台にしたミステリーに引かれ読みましたが(ん~なんだバレバレではないか⁉️)嫌いではないのでいいですけど🎵立待岬、五稜郭、穴間、函館公園、観光客気分🎵2022/09/04
JKD
24
私は醜いとか異質だとか、汀の実体って何なのさ?という疑問から読み始めるが、とにかく陰気でどよーんとした雰囲気が延々と続から、まるで夢の中にいるような不思議な感覚でした。中盤から真相が見えてきたところで、トリックの面白さにハマってしまいました。2017/06/12
ひめ
23
篠田真由美の小説なので期待して読んだけど、この作品に関しては作為が見えて入り込めなかった。ジェンダーの問題、もっと違う形でもよかったのではないかと思う。2015/02/18
坂城 弥生
21
読了2024/05/23