出版社内容情報
人間の本質に迫る愛の重さと厳しさ…
健やかなるときも、病めるときも、汝夫を愛するか……。神の前で誓った言葉の重さ。傷ついた人物を通して、愛と自由の問題に迫る傑作短編集!
内容説明
従姉を見舞った帰りの洞爺湖温泉で、明子は医学生・克彦に出会う。2人は婚約するが、明子が肺結核を患ったため結婚は先送りに。やがて明子が回復し、克彦の結核菌を殺す薬の研究が成功して喜びにひたったその夜、克彦の研究室が火事で全焼してしまう。苦労が水の泡となり、克彦は激しい衝撃を受ける…。神の前で誓った愛の重さを問う表題作ほか、愛に飢え傷つきながらも前に進もうとする人々を通して人生を描いた傑作短編集。
著者等紹介
三浦綾子[ミウラアヤコ]
1922年、北海道旭川市生まれ。旭川市立高女卒。59年、三浦光世と結婚。64年、朝日新聞社の懸賞小説に『氷点』が入選、国民的ベストセラーとなる。人間の愛、原罪、祈りなどをテーマに、多数の著書を遺した。99年、77歳で逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
88
傷ついても前に進もうとする人たちの姿が伺える短編集でした。全編を貫くテーマは「愛」。一言で愛と言っても、貧困、病気、信仰を通じて語られる愛が描かれています。そこには人生があり、同じキリスト者として考えさせられることも多くありました。改めて愛の中で生きることを示された気がします。2017/07/28
じいじ
73
『塩狩峠』の長編ほどではないが、「愛」をテーマにした6つの短篇集は面白かった。ここで何を紹介するかは、躊躇うことなく【表題作】になりました。甘々な恋愛小説かと早合点してしまう書き出しでしたが、しっかりと芯が貫かれた良い小説でした。夫婦も十人十色。夫婦とは?ー少し遅いですが私もじっくりと考えさせていただきました。そして 負けず嫌いの主人公・明子を、いつのまにか応援していました。彼女の勝ち気なところは、幼児たちの英語塾経営で頑張るわが娘と重なります。つぎの三浦小説は、何十年ぶりに読む『氷点』が愉しみです。2025/02/16
かよぴー
40
昔 読んであまりいい印象でないのに、忘れられない題名だったな〜と再読したくて中古で購入。、書き方変えたら話は今で言う「イヤミス」。テーマーは愛なんだけど、貧困、病気、信仰を通しての話。親子、夫婦、師弟、または他人に対してどこまで愛せるか?と問われてるようで、若い私には無理と考えたと思う。表題の「病めるとき」精神を病んでしまった人、血の繋がりのない子供やっぱり今読んでも、貴方はどう?と言われてるようで、逃げ腰の私がいる。でも「ごめんなしゃい」が心に響きます。とても読みやすい短編6話なのでオススメです。2016/10/06
金吾
34
○透徹した愛というものを見せつけられるような短編集です。かなり論外に思える異性に対してこのような行動をすることは自分には出来ないと思いながら読みましたが、平安を考えながら感銘は受けました。表題作が良かったです。2023/05/30
ねこまんま
19
神様は負えないほどの荷物は決して負わせてはいらっしゃらない、と言うが、負わざるを得ないし無理なら死ぬしかないんじゃないか?明子は一見、損で不幸な人生のようだが、幸せを感じられるとはなんと崇高な精神だろう!2020/01/24