出版社内容情報
「柳生三部作」の記念すべき第一作!柳生十兵衛の援護により、会津七本槍を打ち倒していく堀一族の女たち。見事な”女人殺法”が炸裂し、敵陣に乗り込んでいくが、行く手には驚天動地の地獄の幻法「夢山彦」が待ち構えていた……。
山田 風太郎[ヤマダ フウタロウ]
著・文・その他
内容説明
柳生十兵衛の指導・援護により、からくも会津七本槍を打ち倒していく堀一族7人の女。恐れをなした加藤明成は、七本槍と共に江戸から本拠地会津へと逃げ帰っていく。僧沢庵を伴い、敵陣に乗り込む十兵衛たち。だが、そこには幕府を揺るがす恐ろしい秘密を抱えた異形の幻法使い、芦名銅伯が待ち構えていた!敵地に捕らわれ、絶体絶命の窮地に陥る十兵衛と女たち。果たして彼らの運命は…!?痛快無比な一大忍法帖雄編。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年兵庫県生まれ。東京医科大卒。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞を受賞。その後、58年『甲賀忍法帖』を発表し忍法ブームに火を付けた。また、『警視庁草紙』『幻燈辻馬車』等で、開化小説にも新領域を開いた。2001年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さつき
72
隻眼の剣士柳生十兵衛。名前はよく知っていましたが、彼が主役の作品を読むのは初めてでした。神業のような剣技と大胆不敵な生き様。そして意外なくらい女性には優しい。完璧すぎるヒーローでちょっと気恥ずかしくなるほどでした。過剰なエログロには昭和感を感じました。幼心に見ちゃいけないものを見たと思っていた志村けんのバカ殿様の1シーンも、ここに元ネタがあったのかな。初読なのに何とも懐かしさを感じる世界観で楽しく読みました。2021/09/15
優希
51
7人の女たちが会津七本槍を打ち倒していくのが格好良かったです。的軍に乗り込む十兵衛たち。そこに待ち構えていたのは幻法使い芦名銅伯。敵地で危うい立場に立たされる十兵衛たちの運命には手に汗握る展開でした。厳しい運命を突きつけられながらも、痛快な忍法帖です。2021/12/28
キャプテン
33
★★★★☆_「忍者ハッタリくんだってばよ!フェア」第九弾。さってさて、遂にでました、隻眼の剣士、柳生十兵衛に密着でござるよ!もはやまったくハッタリ要素のない、ほんものの凄腕でござるが!おまけに十兵衛殿は忍者でもない、もはや何フェアでござるか!でもでもでも、とにかく十兵衛殿はカッコいい!熱きハート、柔軟なユーモア!ナチュラルに女ったらし!江戸を守る引き換えに、おなごたちが泣いているのならば、江戸なんぞ滅んでしまえと喝破する十兵衛に惚れない人はいないでござる!こんのナチュラル女ったらしが!弟子にしてください!2019/06/23
姉勤
29
次々と七本槍を倒していく堀一族の女たちも、会津藩主加藤明成が会津に戻り、一騎当千の七本槍が、次々と数を減らし、雑魚なイメージが漂ってきたタイミングで、彼らの元締めたる銅伯の登場。不死の魔人と言える銅伯に、追い詰める側の柳生十兵衛が追い詰められていく。虜にされ、羨まし...もとい、地獄の責め苦を味わう十兵衛。ご都合主義名感は否めないが、二転三転する絶体絶命と、それをモノともしない十兵衛の颯爽さを感じよう。2020/06/29
有理数
24
あー、めっっちゃくちゃ面白かったですね……。敵凄まじい忍法を使う敵の首領との頭脳戦、騙し合い。忍法帖の真骨頂ですね。圧倒的な非道を尽くす敵たちも、しかし「残酷」でありすぎるが故に自分の首を締めてしまう因果応報の結末。女性たちの、男性キャラクターたちにはない無垢で一途な想い。それらが絡み合ったうえでの怒涛の終盤。何より柳生十兵衛がとにかくカッコイイ、素晴らしいヒーローでした。敵陣に一人立ち、和尚沢庵や敵に自らの在り様と言い放った場面は、やはり名場面でしょう。山田風太郎、最高すぎる。あー、面白かった。2020/10/04