内容説明
美貌の貴公子・光の君の妻である葵の上に、妖しいものが取り憑く。六条御息所の生霊かと思われたが、どうやらそれだけではないらしい。並の陰陽師では歯がたたず、光の君はついに、外法の陰陽師・蘆屋道満に調伏を依頼するが―。「獣の首をした王が、黄金の盃で黄金の酒を飲みながら哭いている―これ、なーんだ?」葵の上に憑いたものが出したこの謎々は、一体何を意味しているのか。いまだかつてない源氏物語が、幕をあける。
著者等紹介
夢枕獏[ユメマクラバク]
1951年、小田原生まれ。東海大学卒業。『上弦の月を喰べる獅子』で第10回日本SF大賞、『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞、『大江戸釣客伝』で第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
134
陰陽師のある意味スピンアウト作品なのかもしれません。蘆屋道満が年を経て出てきます。しかも源氏物語の中に。光の君も同じような能力を持っているのかもしれない感じで書かれています。様々な世界の神を二人は探求して、ということでかなりな大舞台のような感じです。私は源氏物語は様々な現代語訳をチャレンジしましたがダウンしています。どうも合わない感じです。このような物語ばかりあれば読むのでしょうが。2016/07/09
mocha
88
源氏物語の中でも特に印象的な、六条御息所のくだりを底本としたファンタジー。夢枕版・光の君はとても妖しくて、沙門空海と共通するものがある。光の君とタッグを組むのが蘆屋道満というのも面白い。これは宮廷の人間模様も絡めての大長編にしてほしい。源氏物語をちゃんと読んだことがないという夢枕さんだから、実現しないだろうけど。そして改めて思い知る。『あさきゆめみし』最強!2019/06/05
ひさか
68
光源氏が登場するから、秘帖・源氏物語という副題になってるんですね。 芦屋道満が登場しますが、陰陽師シリーズの芦屋道満のまんまの話です。 新ジャンルでなかったのが残念でしたが、これはこれで面白いお話です。2012/05/20
優希
67
面白かったです。『秘帖・源氏物語』と言われるだけあり、源氏物語の世界が妖しげな雰囲気を漂わせていました。原本にもとずくより、自ら作り出したような気がしてなりません。2019/06/04
鷺@みんさー
55
夢枕氏も、「源氏物語全部読めなくて挫折あるある」で、まさかの『あさきゆめみし』で読了とは…!とても親近感を感じた。そしてあとがきに書かれている通り、傑作である。とんでもない光の君と、蘆屋道満のコンビで、京にある「もの」の正体を様々遡って暴いていく。そのストーリーを、あの陰陽師さながらの筆致で描かれてるんだからもう。心地好いもののけ酔いであった。2018/12/19