出版社内容情報
「リング」シリーズからつならるホラー最強の系譜登場!
きっと会える――冴子は失踪前の父がボリビアで書き残した手記の中に、世界の仕組みを説き明かす鍵を発見した。父の冴子は秘められた過去と、地球に迫る危機を知る! 小説と科学が融合した、ホラー小説最終形。
内容説明
続発する失踪事件は、その規模を急激に拡大しつつあった。その謎を追う冴子は、ついに失踪前の父が南米ボリビアで書き残した手記にたどり着く。その中に、冴子は世界の仕組みを解き明かす鍵を見つけるのだった。恋人、霊能者、物理学者の力を借り、すべての答えに迫る冴子だったが…!?父はなぜ、どうやって姿を消したのか!?そして人々の消失の真の意味とは!?壮大なスケールで描く傑作サスペンス・ホラー、完結巻。
著者等紹介
鈴木光司[スズキコウジ]
1957年、静岡県生まれ。慶應義塾大学仏文科卒。90年「楽園」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞しデビュー。ホラー小説の金字塔との評価を得た『リング』、吉川英治文学新人賞を受賞した『らせん』、完結編の『ループ』など、メッセージ性の強いエンタテインメントを発表し、日本文学に新境地を拓いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
196
凄い。特に最後の50ページに本書の密度の大半が凝縮されていた。下巻の中ほどまでで、まぁそこそこ面白かったなぁなどとつぶやいていたが甘かった。その手があったか!類似作が多いこのごろ本作は際立っている。目くらましされてはいけない。物理用語、数学用語が飛び交うがじつは最後の感動はそれとは別のところにあった。醜悪の中に本当の美を見だすのが芸術の使命だと言う。本書はもっと評価されていいと思った。2016/11/16
遥かなる想い
86
我々の世界・宇宙の根本が崩れていく という荒唐無稽なこの物語・・どうやって 決着をつけるのかと思っていたが、下巻の後半から 展開が急転・・冴子の父の突然の失踪の残酷な真実。 「相転移」「πの乱れ」など、壮大すぎてついて いけない面も多かったが、「山村貞子」とは 違うスリルある終わり方だった。ワームホールへと 繋がる世界・・広げすぎた風呂敷のたたみ方に やや強引な感があったのが少し残念。 2013/07/21
財布にジャック
62
物理も数学も科学も苦手だったから、煙に巻かれちゃったせいなのか、かえって物凄く楽しめました。酷評されている感想が目に付きますが、個人的にはかなり好きです。SFのようなホラーのようなミステリーのような人間ドラマのような、とにかくジャンルも曖昧なんですが、壮大なお話でした。何度読み返しても、きっと私の頭では理解できない難しい薀蓄が壁となることは分かりきっていますが、それでも再読したくなること間違いなしです。貞子は出ませんが、やっぱり怖いお話でした。2013/08/08
sayan
45
ページ1枚めくる度に、物理/数学的な迫力ある記述に圧倒される。例えば「相転移」は本書のホラー感をなす核になるべきもの。しかし専門的過ぎて?マークのみ残る。著者は、恐ろしさを喚起させるために登場人物にその怖さを語らせる。唐突感が強すぎ興醒めする。そして、疲労感が先に来る。気が付いたら話の筋が見えなくなる。個人的には(そして本書でも示唆されているが)「神々の指紋(グラハムハンコック)」を彷彿させる構想や展開は嫌いではない。映画なら多分面白いのだろう。文字での試みとしては著者の期待通り読み手伝わらなかったかも。2019/11/09
福猫
31
なんだかな…。シャリー・ジャクスン賞受賞らしいけど…。そもそもその賞がどの程度のものなのかも不明。素数だとか無理数だとか絶対数だとかを長々と語られても、日常で触れる機会のない一般人としては意味不明だし、そこから思考をスタートさせることも出来ない。そんな中での、ホラーなのかミステリなのかSFなのかどっちつかずの作品と言うのが正直な感想。まず冴子のキャラが荒唐無稽…。物事を順序立てて思考するかと思いきや、理性も何もない獣のような言動。ここ最近で一番好きになれない主人公。<コメへ続く>2013/08/03