出版社内容情報
彼が、裸のわたしのからだにしがみついて、ふるえている――。
昼間は100円均一ショップで働くわたしの夜の顔、それは高級娼婦。愛はなくても感じるわたしの、感じているのはからだなの? こころなの? 体験を重ねれば重ねるほど真実が見えてくる、エロティックなストーリー。
内容説明
昼は百円均一のレジ打ちのバイトをしている静香。だが、高級売春クラブのオーナー、純子にスカウトされたことから生活は一変。さらにはかつて同級生だった娼婦、ナカモトと偶然ベッドを共にすることになる。年齢も境遇も要望もばらばらの男たちを受け入れた静香には少しずつ変化が訪れて…。感じているのは身体なのか、それとも心なのか。女心のひだにそっと分け入り、奥まで揺さぶるエロティック・ノベル。
著者等紹介
鎌田敏夫[カマタトシオ]
脚本家、作家。『俺たちの旅』シリーズ、『金曜日の妻たちへ』『男女7人夏物語』『29歳のクリスマス』などのテレビドラマのほかに、『戦国自衛隊』『里見八犬伝』『いこかもどろか』などの映画脚本を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
435
タイトルと装丁から気になっていた作品。これを男性作家さん(だよね?)が書いたってことがまず、スゴいなぁと思う。アダルトビデオ観すぎで、女をわかった気になってる、バカなオトコどもに読ませたいね。わたしたちはモノじゃないんだ。2019/02/10
くまこ
12
身体という器を操る核は魂なのか何なのか、それを確かめるために手探りで模索する二人の主人公には共感した。ストーリーはありきたりというかちょっと古いんだけど、性行為を通して生そのものを感じるかどうかという視点で読むと、タイトルが少し違った意味を持ってきて面白かった。ピストバイクを乗りこなすシーンがとてもかっこよくて、物語のテーマをうまく伝えてると思う。ピストバイクは経験ないけどロードバイクで走ってると、からだ、からだ、わたしのからだ、っていう主人公のつぶやきが驚くほど身にしみた。2013/06/26
のれん
11
女性性の神聖さを強く意識しているのは逆に男であることを思い出させる一冊。 現代では「からだ」は情報に変換しなければ理解できず、理解しなければ安心できない。そしてその多くの理解はどのくらいの金で交換できるかどうかである。 性を含めた上で自己の折り合いを探す物語。 主役の女性二人は逆のアプローチで同テーマを掲げているが、身体の精神は不可分であり、どちらからも起点になるし影響を受けるということだと感じた。 後、ピストバイクという小道具の動かし方が好き。淡泊なお気に入り描写が作風にマッチしている。2021/11/17
みさき
7
ナイスしてくださった方の読書記録から読んでみたくなり読みました。 少しタイプの違う二人が身体を売る仕事を始める話。もっと軽い感じかと思ったんだけど(軽い感じでも良かったんだけど)少女たちの思いや、感情の変化などが本人目線で描かれていて、感情移入できました。 からだに心を合わせるというメッセージが、私の中で少しもやっとしているんだけど、しっくり来る方もいるのかもしれない。 最終的に二人とも仕事を辞めるのだけれど、なぜかそういう仕事も悪くないのかもしれないと一瞬思える本でした。不思議。2019/02/13
たお
5
切なく悲しい話。自分と、プライドと…。官能的な表紙、タイトル、設定でありながら……実は『自分という存在と折り合いをつけてゆく』物語2012/07/08