出版社内容情報
七人の香具師VS風摩党で繰り広げられる忍法戦!豊臣秀吉の小田原攻めに対し忍城を守るは美貌の麻也姫。彼女に惚れ込んだ七人の香具師が姫を裏切った風摩党を敵に死闘を挑む。機知と詐術で、圧倒的強敵に打ち勝つことは出来るのか。痛快奇抜な忍法帖!
山田 風太郎[ヤマダ フウタロウ]
著・文・その他
内容説明
天正18年、時は秀吉が北条を呑み込もうとしていた時代、混乱の世などどこ吹く風の戦場荒らしの風来坊、7人の香具師がいた。気侭な香具師稼業で奔放に日々を送っていたが、北条方の美貌の麻也姫に見咎められ、痛い目に遭わされる。復讐を誓い、麻也姫の貞操を狙う7人。だが、いつしか天真爛漫かつ気丈な彼女に惚れた彼らは、最強の忍者集団・風摩組を敵に死闘を挑む。機智と詐術の香具師忍法が繰り広げられる痛快奇抜な忍法帖。
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年兵庫県生まれ。東京医科大卒。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞を受賞。その後、58年『甲賀忍法帖』を発表し忍法ブームに火を付けた。また、開化小説にも新領域を開いた。2001年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
280
『忍法八犬伝』が好きなら確実に楽しめる。とんでもなく悪い奴らなのに、なぜか憎めない七人の香具師。その散り様の侘しさも堪らないが、戦いに至るまでの経緯が、忍法帖シリーズでは異例なほど長く描かれており、そこがまた面白く、ラストの爆発力につながっている。山田風太郎は、史実は割りと忠実に描くタイプの作家だと認識していたが、これに限っては、忍城の戦いが、かなり創作度合いが高いようで、『のぼうの城』を読んだ人は違和感があるかもしれない。甲斐姫が秀吉の側室になるラストは見たくないので、これは仕方ないかも。2022/09/14
レアル
81
読んでて「のぼうの城」を思い出した。「忍城水攻め」の史実にオリジナルをプラスして大傑作。作風に慣れつつあるものの、戦いの危機の連続やハラハラする展開、そして残虐なシーンが多いにもかかわらず爽やかな読了感。忍法帖はやっぱり面白いし良い!2015/01/25
優希
43
面白かったです。家具師7人気ままに日々を過ごしていたところ、北条方に見初められたことが運命だったのでしょう。復讐を誓ったことがきっかけとなり、最強の忍者集団に死闘を挑むとなると、物語も盛り上がるものですね。痛快な忍法帖でした。2021/12/28
ぐうぐう
35
超絶のおもしろさだ! 忍法帖中、ベスト3に入るおもしろさではないだろうか。忍者ではなく、香具師が主人公である点がユニーク。香具師ならではの価値観や哲学が、武士や忍者とぶつかっていく。言わば、香具師対忍法という構図が物語を躍動させている。7人の香具師のキャラクターの濃さもさることながら、麻也姫のキャラが断然魅力的だ。敵が味方に、味方が敵に、逆転逆転の怒涛の展開は、まさしくページをめくる手を止まらなくさせるが、最初っから考えていたとしたら、その構想力に感服するし、アドリブだとしたら、なおさら凄い。(つづく)2017/05/08
ひるね
24
天才と鬼才と変態を足して3を掛けてもまだ足りない、安定の山田風太郎クオリティ。主人公は風来坊の香具師7人。女を犯して売り飛ばし、得た金を博打でスッてはまた女を誑かして売り、と最低最悪の彼らですが、忍者に護衛された麻也姫にコテンパンにされ、復讐を期して彼女に近づくうち心酔し、絶望的な戦に臨む彼女のため命懸けで戦うことに。香具師たちは最低だけど、妙に可愛げがあって爽快で、それだけに終盤の悲壮な戦いは固唾を飲みながら読みました。エンタメ具合といい読みやすさといい、50年以上前の作品とは思えません。面白かった!2020/04/02