内容説明
AIが発達しつつある今、改めて「言葉とは何か」を問い直す。AIと普通に話せる日はくるのか。人工知能と向き合う前に心がけるべきことは何か。そもそも私たちは「言葉の意味とは何か」を理解しているのか―「理論言語学」出身にして気鋭の作家が、言葉の「不思議」と「未解決の謎」に迫る。
目次
第1章 機械の言葉の現状(コンピュータの内側で、言葉はどう扱われるのか;文字以外の情報も数で表される ほか)
第2章 言葉の意味とは何なのか(意味は辞書に全部書いてある?;意味は心の中のイメージか? ほか)
第3章 文法と言語習得に関する謎(無意識の文法―「かたまり」に切り分ける;無意識の文法―意味解釈への影響 ほか)
第4章 コミュニケーションを可能にするもの(他人の意図の理解;意図理解の手がかり;言われたことを実行する)
第5章 機械の言葉とどう向き合うか(チューリング・テスト;人間っぽい言動=言語理解? ほか)
著者等紹介
川添愛[カワゾエアイ]
九州大学文学部、同大学院ほかにて言語学を専攻し、博士号を取得。津田塾大学女性研究者支援センター特任准教授、国立情報学研究所社会共有知研究センター特任准教授などを経て、言語学や情報科学をテーマに著作活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
69
改めて言葉の不思議さを考えた。言葉とは?言葉を理解・習得するとは?どうやって?などなど。AIに関する認識は、書かれていることと、ほぼ同じなので、すっと納得できた。人間の脳の凄さを思う。読みながら、最後のほうで川添さんが書かれている、言葉を研究するのは、人とは何かを研究することに通じるということが、アンドロイドで有名な石黒先生の視点と同じだなあ~と納得。2022/05/30
樋口佳之
51
直近に読んだ本に引きずられながら読みました。普通に行っている言語コミュニケーションはひどく姫川玲子的なのでしょう。状況依存で無視して良いものを暗黙の了解のもとにばっさり落としていく。だから日下風の報告にイライラしたり、筋読みが通った、または覆った時に快感を覚えるみたいな。/毎日使ったいるのに突き詰めて見てみると、わかって無い事多いのですね。2021/09/29
かんやん
32
著者はAI開発に携わった言語学者。翻訳や対話、文章執筆など、AIの言語理解に関する通俗的な誤解を解きほぐしてゆく。数値を入力すると別の数値に変換して出力する関数であるAIは、言葉を理解していると言えるのか。ニューラルネットワークのパラメータが膨大・複雑で、AIがなぜそのように振る舞うのか実のところわからないブラックボックス問題というのがある。つまり、間違いを犯したとき、その原因を突き止めにくいわけである。そもそも、ヒトが言語を理解するメカニズムそのものが、実のところよくわかっていないという。良書。2021/06/01
buuupuuu
31
現状では、AIは、人間のようには言葉を理解できていない。人間と同じレベルのことができないというだけでなく、人間と異なる仕方で言葉を処理してると思われる点があるという。私たちは、意識せずに自然に話しているから、自分たちがどれほど複雑なことをやっているのか示されると驚いてしまう。会話における言葉の解釈には、会話参加者の状態や関係性、周囲の状況や前後の文脈、背景となる文化についての常識など、言語外の様々な事柄についての認知や知識が必要になる。これはデータの規模を大きくすれば解決できる課題なのか。著者は懐疑的だ。2024/11/08
どんたこす
31
AIによる会話は膨大なデーターから法則性を見つけ出し、機械学習によって次はこの言葉がつながると言う確率に基づくものである。 一方人間も言葉の意味と言うものを完全に定義付けする事はできていない。説明できない能力を使ってコミニュケーションをとっている。このことを解明することができればAIも人間と同じように思考することができるのだろう。ダチョウ倶楽部の絶対に押すなよのネタが真面目に解説されていたのには笑ってしまった!2021/02/14