出版社内容情報
これほどのウソがまかり通っているのに、なぜわれわれは子どもに「ウソをついてはいけない」と教え続けるのか。この矛盾こそ、哲学者が引き受けるべき問題なのだ。哲学者の使命としてこの問題に取り組む。
内容説明
これほどのウソがまかり通っているのに、なぜわれわれは子どもに「ウソをついてはならない」と教え続けるのか。この矛盾こそ、哲学者が引き受けるべき問題なのだ。哲学者の使命としてこの問題に取り組む。
目次
第1章 ウソに塗れた法治国家(善意のウソ;客観的真理と内面的真実 ほか)
第2章 ウソが誕生する瞬間(ウソが誕生するメカニズム;信用を維持するためのウソ ほか)
第3章 ウソが育っていく経過(リーガルマインド?;刑法における「行為」と責任帰属 ほか)
第4章 ウソと理性主義(ウソと法治国家;適法的行為と道徳的行為 ほか)
第5章 哲学(者)の使命(「よく生きる」こととウソ;幸福追求とウソ ほか)
著者等紹介
中島義道[ナカジマヨシミチ]
1946年生まれ。東京大学教養学部・法学部卒業。同大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部哲学科修了。哲学博士。専門は時間論、自我論。「哲学塾カント」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
23
世界は嘘に塗れている。成人して久しいぼくやあなたにはよく解るだろう。人はみな嘘をつく。日常的に嘘をつく。ぼくorわたしは常に真実だけを口にするなんて宣うのはハッピーになるクスリを常用している奴らだけだ。なのに何故基本的には「嘘はよくない」としているのか。何故幼いこどもに向けて「正直であれ」などと心にも思っていないことを口にするのか。常に正直に思うことだけを口にするような人間が社会では生きていけないと十二分に承知している筈なのに。本音と建て前。それを使い分けることには罪悪感をもたなければならない。絶対に。2019/11/01
TAKA0726
14
作者は長く哲学会に所属し、ウソの構造を科学的ではなく哲学的に分析しているがやたらカントやサルトルが出てきて内容が理解できない。冒頭70歳以上の高齢者は、働いておらず、若い者たちに養ってもらっているので謙虚に威張るなと言いたい!と言いながら自身が政治家、もりかけ問題、あおり運転、日大アメフトに文句ばかり並べどうなのかと思う。真実を語れも何が本当の真実なのか、人それぞれ捉え方が違い口のうまさで嘘も真実になるのではと言いたい。現代は、殺人事件より痴漢事件を大々的に取り上げるマスコミも魔女狩り、ヒステリックでは❓2020/01/09
amanon
8
ウソをつくことは基本的に良くないと恐らく誰もが思っている。しかし、一生嘘をつかずにいることは不可能。これも周知のことである。「嘘も方便」は一体どこまで許容できる概念なのか?本書を読んでふとそんなことを考えた。また、本書を読んで、前政権から今日にかけていかに政治家の言葉が軽くなり、政治が腐敗したかを改めて痛感。常識では到底あり得ないことが堂々と罷り通って今日に至っているという状態の異常さに今更ながらに驚愕。著者のいう「繊細の精神」が減退しているということか。哲学の復権が必須だが、ほぼ絶望的なのが辛い。2021/11/09
まさや
5
少し前にあった事件を題材にしているので分かりやすかったです。自分の得になることと損になることを話している人がいたら、損になることを言っている方が事実を話している可能性が高いと思いました。2021/01/23
マヌヌ2号
4
この本を読んでいるタイミングで「いつもの帰り道で 安永健太さんの死が問いかけるもの」という動画( https://youtu.be/cKt6LSa9gKE )を見る機会があり、「あぁこの人たち(県警の方々)は嘘吐きだな」と思い暗澹とした気分になるなどしました。部外者の視点からでさえも、こんなに、こんなにわかりやすく醜い嘘があるのかと、なるほどこれが根本悪かと思ってしまう。せめて自分のなかにある醜悪さを突き放せるようにならなくてはなぁ2022/12/13