出版社内容情報
東日本大震災から5年――除染が続く福島で3分割された想い
東日本大震災による東京電力福島第一原発事故の被災者の取材で目にしたものは、その約10年前、2004年の新潟県中越地震の被災地の取材で見聞きしたことと 同じことが繰り返されていた。お年寄りの孤独死、アルコール依存症、家庭の崩壊、国などから受けられる補助金の額が異なることによって生じる地域住民間の不和、帰る帰らないの問題……。災害の規模も性質も異なるのに、起きている現象と問題の構造は、中越地震のそれとほとんど変わらなかった。さらに今回の福島県では、放射線の影響が絡み、より復興を難しくさせている。避難指示区域の放射線量はいまだに高く、避難指示区域以外の地域でも、除染で出た放射性廃棄物があちこちに置かれ、日常生活を不安にさらしている。そして放射線もまた、地域の分断を生み出している。放射線量が高い低いという物理的な差だけでなく、放射線リスクに対する考え方の違いが、住民の間に溝を作っているのだ。放射線の問題が、宮城、岩手県の津波被災地とは違う、福島県特有の複雑さの原因となっている。2016年3月で、東日本大震災から5年――。被災地・福島で何が起きているのか。絡み合った一本一本の糸をクローズアップしながら、被災者の実態に迫り、さらに深刻度が増す状況に警鐘を鳴らす。
第1章 オフサイトで起きていること
バリケードの先に咲く桜/見えない境界線/原発被災者と津波被災者/住宅バブル/「被災者、帰れ」/賠償金の罪/パチンコ・アルコール中毒の真偽/帰れない人、帰らない人/おじいちゃんの米/触れない話題/オリンピックと福島県/アメ玉の限界
第2章 原発と生計
汚染水タンクの森/電源立地地域対策交付金/協力企業/一次下請け企業/孫請け会社/原発技術者
第3章 復興が進まないワケ
放射線と避難者/避難者は戻れるのか/たまるフレコン/第二の沖縄/三流官庁/病める自治体/官庁不在/リンゴが腐るまで
内容説明
東日本大震災から5年、原発事故被災者の葛藤は依然として続いている。賠償金をめぐる地域コミュニティの分断、長い仮設住宅暮らしで崩壊する家族関係…。中越・中越沖地震を取材した記者が、被災地における諸問題が福島で同じように繰り返され、さらに深刻化している実態に警鐘を鳴らす。
目次
第1章 オフサイトで起きていること(バリケードの先に咲く桜;見えない境界線;原発被災者と津波被災者 ほか)
第2章 原発と生計(汚染水タンクの森;電源立地地域対策交付金;協力企業 ほか)
第3章 復興が進まないワケ(放射線と避難者;避難者は戻れるのか;たまるフレコン ほか)
著者等紹介
笹子美奈子[ササコミナコ]
1975年、埼玉県生まれ。99年、早稲田大学政経学部卒業。2002年、読売新聞東京本社入社。02~07年、新潟支局。東京電力原発トラブル隠し、東北電力巻原発建設計画白紙撤回、中越地震、中越沖地震などを取材。08~13年、東京本社経済部。11~12年、イギリス・サウサンプトン大学留学、MBA(経営学修士号)取得。13年4月~15年1月まで、福島支局。東京電力担当、県政キャップ。東京電力が福島県政記者クラブで毎日2回行う記者会見に出席。現在、東京本社国際部(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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