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出版社内容情報
灼熱の地と化した地表、空に築かれた都市。都市の上層に生きる人間による理不尽な支配と死が蔓延る世界で、下層に生きる少年カイナは人々の自由の為、反逆の刃を振るう。――それが、自分の願いだと信じて。
【目次】
内容説明
未曾有の大災害により地表は灼熱の〈地獄〉と化し、異形の怪物〈獄鬼〉が現れた。生存領域を追われた人類は雲の彼方から垂れた一本の鎖に縋り、空中都市〈カンダタ〉を築く。だが救いと思えたその都市は、楽園とは程遠いものだった。〈獄鬼〉と戦い日々を繋ぐ都市下層の少年・カイナ。上層の民による理不尽な支配と死が蔓延る下層では、戦っても報われず、自由もなく、逆らえば“落とされる”。奪われた尊厳、自由への渇望。自分を裏切り上層へと行った少女への憎しみを抱えながら、やがて彼は歪んだ世界に叛逆の一歩を踏み出す。“自由を求める行いは正義”―そう自分を信じて。第37回ファンタジア大賞橘公司特別賞。
著者等紹介
八火照[ハチビテル]
本作が第37回ファンタジア大賞《橘公司特別賞》を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
22
陸地と海は灼熱の地獄と化し、雲の上から垂らされた鎖をもとにつくられた空中都市カンダタ。下層に生きるカイナが自由のために反逆の刃を振るうファンタジー。上下層に分かれた格差社会の下層で、かつて裏切られ兄を殺された復讐を胸に生きてきたカイナ。そんな彼が大切な家族やかけがえのない仲間を失い、尊厳を奪われ報われない下層での世界を覆すために立ち上がる展開で、しかしその本質はどこまでも復讐で、再会した因縁の相手に何とも複雑な想いを抱きながらも、それを乗り越えた先にあるほんの少しだけ変わった未来がなかなか良かったですね。2025/06/21
真白優樹
9
世界が灼熱の地獄となり現れたバケモノから逃れる為に、人々が天から降りて来た鎖に縋り天空都市を作った世界で、反逆者の子孫である少年が戦い抜く物語。―――信ずる正義、己が願いを鎖に込めて。 人の命が呆気なく死に、舞台はあっさり崩壊する。何もかもが軽いディストピアの中、鮮烈な歪みを抱えた者達が戦い抜く物語であり、正に衝撃的な味のする、いい意味で刻み込んでくる物語である。誰もの希望を叶え、掴んだのは少しだけいい結末。己が復讐の為に多くのものを失いながら、何処へ進むのか。 次巻もあってほしいものである。2025/06/20
zingug
1
人は他人を蹴落とすことでしか快楽を得られない。それはモチーフとなった芥川龍之介の名著を体現しているよう。 では、搾取される側が自由を求め、復讐を果たした先に何があるか。そのディストピア具合は主人公の言動がお下劣になるのも納得がいく程。 大雑把に言えば、86の追放された側の物語だが、こうまで重苦しいテーマをラノベとして出すのは革新的。 一応、お茶らけたヒロインで緩和してはいるものの、お前何してくれとんねんって末路になるし。いやまあ、公司先生はとんでもない作品を選出されたものだ。2025/06/23