出版社内容情報
新しい都に移り、次第に外朝でも動きを見せ始めるベルタ。財政難に南部と北部の派閥統合など、問題は山積していた。そんな中、ベルタはカシャから異母弟を呼び寄せる。新たな 勢力軸の登場に王宮は揺れて――!?
内容説明
月日は穏やかに巡る―。新王都ヴァウエラで、国王ハロルドの手堅い統治に守られたベルタは、次第に外朝でも動きを見せ始める。遷都による財政難、南部と北部の派閥統合…数々の課題が見え隠れする中で、ベルタはカシャから自身の異母弟・レアンドロを都へと呼び寄せる。閉鎖的なカシャー族からの初の中央参入。ベルタと“同い年”の異母弟という新たな勢力軸の登場に、王宮は揺れる。他、ついに異郷の王妃に牙を剥いたプロスペロ教会との対立にも、破綻の末の決着が見え…。新都が産声を上げる第三巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
43
新しい都に移り、次第に外朝でも動きを見せ始めるベルタ。財政難に南部と北部の派閥統合など問題が山積する中、ベルタはカシャから異母弟・レアンドロを呼び寄せる第三弾。久しぶりに再会したレアンドロとの複雑な関係、彼とニーナの結婚。そして未だ落ち着かない王妃の立場と立太子を巡る諸問題。異母弟のような第三者視点から見てみると、ハロルドとベルタの夫妻が育んできた公私に渡る強い絆、お互いをかけがえのない存在と思う特別感を改めて実感しますね…。そんな両親を親に持つルイも、あれが基準だと大変だなあとしみじみ思いました(苦笑)2021/05/13
るぴん
39
遷都が完了し、杜撰な財政の梃入れに着手するベルタ。適任者として故郷南部から呼び寄せたのは、同い年の異母弟レアンドロ。彼は何やらベルタに複雑な想いを抱いているようで…。ベルタの弟とは思えない軽い性格のレアンドロが新鮮だった。ベルタがプロスペロ教会の異端審問にかけられそうになった所は怖かった〜。意見を一切聞き入れられずに断罪されるのは恐ろしい。あとがきで作者さんがイメージはイベリア半島と言っていたので、とても想像しやすくなった。妹が産まれ、次巻ではルイの赤ちゃん返りや反抗期があるかな?2021/05/20
ぐっち
27
3巻は財政立て直し。王との仲より。政治の話とそこにグイグイ行くベルタが面白い。同い年の異母弟、レアンドロとベルタのやり取りもよい。最後の小話は…もしかしてこれで終わるのかな、もっと延々書いてくれても読むのですが。2021/07/17
dorimusi
23
完結なのかな?微妙な終わり方だけど続きが出てないのは事実。結局何を書きたかったんだか……後書きでは続きがありそうな雰囲気が感じられなくも…? 3巻は中編二つ。ニーナと南部の異母弟との結婚。そしてルイ王子の立太子。宗教問題や財政問題などとともに王と王妃の関係など変化が見えてきたというかこれからが大変ってところなので、これで終わりと言われても……中途半端な印象が拭えないです。単に商業的な理由で続刊が出せないだけでしょうか?近所の本屋では結構平置きされたりしてましたが・・・ 2023/08/27
すがはら
23
ベルタは天然の女傑、天才型ですね。才覚を活かせて、家族との間に悲劇が生じることもなく幸せに生きられたのなら良かった。架空の人だけどね。権力者の周囲ってどうしても個人の意思とか尊厳とかが軽んじられて、特に女性は身分のある人でも安心できない気がします。ハロルドは誠実で真面目な王で、ルイもレアンドロも生真面目に働く人で情もあるのに、妻事情はちょっと感心しない部分があるし。これがリアルな時代物な部分かな。ルイの生涯独身な王という設定は嘘くさいけど。ハロルドがそこまで短命でもなかったらしくてホッとしました。2021/09/26