出版社内容情報
校庭の一角を占める<プラントハウス>。温室植物たちを管理するのは、他の誰にもない存在感を放つ蘇芳キキただ一人だった。しかし彼女は姿を消してしまう。ある事件と共に……。その記憶を、いま綴ろうと思う――。
内容説明
「私たちはずっと一緒だ」彼女たちに起こったすべての記憶を、いま、ここに綴る―。
著者等紹介
森晶麿[モリアキマロ]
1979年静岡県生まれ。2011年『黒猫の遊歩あるいは美学講義』(早川書房)で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞し、デビュー。代表作に「黒猫シリーズ」(早川書房)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪紫
50
植物をモチーフにした百合サスペンス。しかし、終盤であれ?な展開になりつつも(思わず見返すレベルで)しっかりとミステリ的な解決にはなってる。結末の百合具合も好みだったし(あの葉の想像をするだけで・・・)。しかし、最初の犠牲者死亡フラグ出し過ぎて、ある意味ツッコミが止まらない。2021/09/02
よっち
44
かつて校庭の一角を占める<プラントハウス>を管理していた蘇芳キキ。ミステリアスな彼女と運命的な出会いを果たした若宮波留花が事件に巻き込まれてゆくミステリ。学校ではいじめに遭い、家では両親に抑圧されていた波留花。キキと出会ったことで劇的に変わってゆく彼女の環境。キキに惹かれてゆく波留花が邂逅するキキの妹・カラの存在、謎めいたキキの周辺で次々と起こった殺人事件。姿を消した彼女の行方を追う波留花が直面する真相は何とも切なかったですが、巧みに回収されてゆく伏線によって紡がれていった結末が儚くも美しい物語でした。 2019/09/02
寂しがり屋の狼さん
38
学園のプラントハウスを舞台にした女子高独特の百合小説と想ったら「少女たちが/植物的に/あがく」をテーマにしたサスペンスでした(*^^*)タイトルの『ホリック』は【中毒】よりも【偏愛】と訳すほうが相応しい幻想的な作品で読後もあとを引くような【中毒性】があります(*^.^*)2020/01/25
まー
14
なんだか不思議な話で感想が書きづらい…。最後の方はびっくり。すっかり予想外でした。2019/09/15
nishiyan
13
プラントハウスのある閉鎖的な女子校を舞台に家族からはDVを、学校ではいじめを受けていた若宮波留花がクラスメイトで植物係の蘇芳キキに救われたことから奇妙な事件に巻き込まれていく百合小説。プラントハウスでキキと過ごす日々は波留花の心を癒やし、ときめかせるのだが、キキの妹カラが忠告ととも現れたことで事態が一変していく展開は面白い。張り巡らされた数々の伏線が回収されたとき、残酷だが幻想的な世界が目の前に浮かび上がる快感は何とも言えなかった。ハッピーエンドなのか、それとも…。読み手に委ねられる最後も好きですね。2020/02/05