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出版社内容情報
「小市民さん、そのナイトを誰にも渡さないでいただけませんか」
内容説明
ここは、この異世界でただひとつのコーヒーが飲める場所。現代からやってきた元高校生ユウが切り盛りする喫茶店だ。迷宮街にまもなく冬がやってくる。歌姫の公演で沸いていた街も落ち着きを取り戻し、ユウの店も深夜営業から昼間の通常営業に戻ってきた。いつもの日常が帰ってきたのだ。季節のメニューを考えたり、手紙の返事を書くためにアイナに異世界文字を教えてもらったり、お客さんとのチェス勝負に乗ってみたりと、この世界に馴染みはじめたユウ。気がかりなのは、治療魔術師になるための勉強で忙しいリナリアとの距離…そんな中、貴族のお嬢様アイナに結婚話が持ち上がって?
著者等紹介
風見鶏[カザミドリ]
1991年山口県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スズ
41
アイナから異世界の文字の読み書きを教わる事になったユウが、町で爆発的に流行るアレヒンのチェスの駒を手にした事で騒動に巻き込まれていく第5巻。貴族系ヒロインには付き物の強制的な結婚を諦観のまま受け入れようとしていたアイナを守る為にチェス勝負に挑むユウの決意に賞賛を。リナリアとの別れが近づき寂しさを感じるのですが、物語全体に優しく灯っている暖かさと冬の隙間風のような寒さにも似た寂寥感が見事に調和していて非常に読みやすい。暖炉前で丸くなるノルトリに癒されつつ、暖炉の火でソーセージを炙る飯テロ描写にお腹が鳴りそう2019/09/20
星野流人
36
秋になり、昼営業に戻った喫茶店にて、アイナとチェス駒にまつわる物語。リナリアもいいけどアイナもね、とばかりに怒涛の勢いでかわいいアイナが供給されまくって凄かったです。これまで明るく振る舞っていたアイナですが、貴族の娘らしく悩む彼女と、彼女のために一肌脱ぐユウくんがカッコよくて良かったですね。 明確に前の世界で暮らしていた頃の知り合いの姿が描かれたのも、印象的でした。ユウくん……帰るのか? 学校サボって暖炉の前で寝続け、ストーリーに絡むでもなくただただ可愛さを振りまくノルトリは、完全にマスコットキャラでした2024/11/02
まりも
31
リリアナと会えない日が増えていく中、アンナの縁談話が持ち上がるシリーズ第5弾。この作品を読み終わった後はいつも優しい気持ちになれるから好きだ。さながら作中にも出てくる暖炉のような柔らかな温もりをくれる。主役のユウの変化を楽しみつつ、炬燵の中で丸くなる猫の如き愛らしさのマスコットキャラノルトラ。登場シーンは少ないながらも正妻的ポジションとして確固たる地位を築いたリナリア。そして今回ユウの友人としてヒロインとして物語の中核を担ったアイナ。キャラがみんな魅力的だから何気ないひと時がこんなに沁みるんだろうな。2019/02/24
オセロ
29
歌姫ティセが迷宮都市から去り、通常営業となったユウの喫茶店。ティセからの手紙に返事をする為にアイナに文字を教わるうちにとある芸術家が作ったチェスセットを巡ってアイナが貴族としての役割を果たそうとしていることを知ったユウはある決断を迫られる…。 コルレオーネさんの過去エピソードや飯テロを挟みながら、アイナの夢とリナリアの願いのどちらの選択を迫らたユウ。どちらを選ぶのかが正しかったのかは分かりませんが、アイナの祖父の気持ちはグッときましたね。さて、この物語がどんな結末を迎えるのか、次巻も楽しみです。 2023/05/19
ツバサ
20
自分の人生だから後悔せずにはいられないが、選ばずにもいられない。アイナの諦めてしまったかのような姿勢に喝を入れるユウはカッコ良かったです。そして、リナリアが遂に遠くへ。別れ方はあれで良かったのかと疑問には残るが、次の最終巻でしっかりやるんだろうか。2020/07/04