出版社内容情報
――僕は、自販機の彼女に、恋をした。田舎町のおんぼろな自動販売機、そのそばには着物姿の女がいる。軽やかに歌う彼女は、人ならぬもの。そんな「自販機」にうっかり恋をしてしまった“ぼく”の片思いを描いた、笑って泣ける青春恋愛劇。
二宮 酒匂[ニノミヤ サカワ]
Webで連載していた『ジンニスタン 砂漠と海の物語』((アース・スターノベル)が人気を博し、同作で商業デビュー。その他著作に、『山内くんの呪禁の夏。』(角川ホラー文庫)がある。
細居 美恵子[ホソイ ミエコ]
内容説明
田舎町のおんぼろな自動販売機、そのそばにはいつも着物姿の女がいる。軽やかに歌う彼女は「人ならぬもの」。なぜか“ぼく”にしか見えない女を幽霊と勘違いし、塩を投げつけた…それが、出会いだった。年月が過ぎ、気がつけば“ぼく”は、大人な見た目に反して子どもっぽく純粋な「自動販売機の精」に、恋をしていた。だけど“ぼく”は知らなかったんだ。彼女の本体であるおんぼろ自動販売機に「おしまいのとき」が迫っていることを―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
46
田舎町のおんぼろな自動販売機に取り憑いた着物姿の「自動販売機の精」。幼い頃に彼女と最悪の出会いをした神主の息子が、やがて彼女への想いを自覚する恋の物語。少年にしか姿が見えない、世間知らずだけれどとても優しい彼女と共に過ごすうちに、惹かれてゆくことを自覚し密かに苦悩したり迷走する少年。彼女が宿るおんぼろ自動販売機が危機的状況を迎えるまで随分遠回りしたなあとも思いましたが、それでも真摯に想う彼女を助けるため家業まで巻き込むなりふり構わない彼の奔走に、神様も粋な計らいをしてくれた素敵な物語でした。次回作も期待。2016/08/21
わたー
30
★★★★★タイトルから漂うイロモノ感とそれを否定するかのごとく美麗な表紙に惹かれて読了。これはいい恋愛モノだった。主人公が、自動販売機の付喪神に出会い、恋をして、プロポーズするまでを描いており、その切なくて綺麗な物語に心が揺さぶられた。自動販売機の精も可愛くて素敵だった。耳年増でお姉さんぶるのに、子供っぽい、主人公が惚れるのも無理はないほど魅力的だった。また、ストーリーとしては、特に終盤が圧巻。オチの付け方もご都合主義的でなく、納得のできるものだったのもよかった。素晴らしい出来だったと思う。次回作も期待。2016/08/20
けいた@読書中はお静かに
24
献本でいただいた小説ながら断念。読みやすく面白いんだけど、僕には合わなかった。いい本ですけどね、残念。本をあまり読まない人にもお勧めできる作品です。絵がかわいい。2016/09/02
giant★killing
21
読書メーターの献本企画で入手。読み始めると止まらない、中々どうして素晴らしい恋愛小説でした。主人公の少年が自販機の精への認識を、おばけ→友達→想い人と変化させていく過程が微笑ましく、だからこそ片想い10年の期間がとても切なかったです…。外見はオトナのおねーさんなのに、耳年増でウブくて子供っぽくって…可愛かったなぁ…。刻々と迫る最期(自販機の寿命)に抗うべく悪あがきする少年の一途な想いは、人間の恋となんら変わりはない。結末はきっとそんな彼に対する神様のご褒美なんだろうな。お幸せに! 次回作も楽しみです。2016/09/01
AKF-ZERO
18
主人公である神主の息子と、自動販売機の付喪神の女性との恋物語。手に取ってみたら、表紙も二人の関係性を表していて素晴らしかったです。タイトルにある通り、主人公がヒロインにプロポーズするのは確定事項です。どうやってそこに二人が至ったかが語れており、その内容がまたとても綺麗な恋のお話でした。二宮さんの作品は一作読んでますが、この人恋愛を題材とした作品の書き方が非常に上手だなと思いました。本文イラストも作品の雰囲気に合っていて大変満足な一冊でした。2016/08/18
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- 和書
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