出版社内容情報
閑静な山奥にひっそりと佇む≪たまゆら図書館≫。千穂は一冊の書籍を手に取ったことで、本に憑く妖怪・白火と出逢う。「藪の中」「伊豆の踊子」……本に願いを込めた人と、その想いを糧に生きる儚きあやかしの物語。
内容説明
緑深い公園の奥に、ひっそり佇む“たまゆら図書館”。千穂はそこで一冊の本を手にしたことから、あやかし・白火と出逢う。ここはあやかし憑きの書籍を収蔵する不思議な図書館だったのだ。「私はいつでもここにいて、あなたを待っていますから」白火の言葉に背中を押され図書館に通うようになった千穂は、本にまつわる悩みを抱えた来館者の手伝いをすることになり…。「薮の中」「伊豆の踊子」「水墨集」―本に願いを込めた人々と、その思いを糧に生きる儚きあやかしたちが、新しい物語を紡ぐ。
著者等紹介
一石月下[イチイシゲッカ]
第26回冬期ファンタジア大賞にて銀賞を受賞、『女装王子の深遠にして優雅なたくらみ』(富士見L文庫)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
48
「居場所がない」と感じている女子高生と美しいあやかしの物語。ファンタジー色が濃く、主人公・千穂の成長物語としても読める。ただ白火はあくまでもあやかしの身。千穂の想いを案じずにはいられない。2015/11/25
はな
37
弟の静養のために田舎に引っ越すことになった主人公。家族や学校などいろんなものに対して心を遠ざけて過ごす中でたまゆら図書館に出会う。そこはあやかしが憑りついた本があり、そこで白火と出会う。居場所にすればいいと誘われて通い始めるというものだけれど、話の主題がよくわからないなぁと感じました。書妖が引き起こす不可思議な話なのか主人公が周りとの関係を取り戻す。どちらか一つに力を入れてくれるほうがごちゃごちゃしなかったのではないかなって思いました。2015/09/21
ううち
30
ファンタジー色が強めですが、本に憑依している妖が個性豊かで楽しい。ツンデレ?な福助がキュート。ぜひともポシェットに入れてなでなでしたいものです。白火と千穂ちゃんの会話がピュアでとても甘かった。2巻が出るようなので追ってみようかと思います。2015/12/27
ななりー
29
自分の居場所が学校にも家にもなく孤独だった女子高生の千穂。自分の住処であるたまゆら図書館居場所にしていいと優しく言ってくれた白火によって、彼女は初めて自分の居場所を得ます。そこは書妖という本に憑いている妖し達が沢山集められている不思議な図書館。設定と、心温まるストーリーが素敵でした。特に柳宜と結花のお話は切なかったけれど、愛を貫いた柳宜はカッコよかったし、人と妖しにも絆が生まれるんだということを証明してくれてよかった。白火が封印されることになった事件の謎や正体が気になるし、他の書妖達の物語も気になるなあ。2015/12/13
すみの
27
病弱弟のため転地療養で引っ越しをした千穂一家。弟第一の父母に疎外感を覚えた彼女が偶然見つけたたまゆら図書館。そこは本に取り憑く書妖達がいた。あやかしが視える彼女は図書館手伝いとして学校帰りに立ち寄るようになり、家でも学校でも孤立気味な彼女がやっと見つけた居場所で書妖たちと関わっていく。書妖絡みの話に必ず名作があり、本好きには嬉しい設定。書妖たちもカバー画の狐の白火や兎の福助を始め個性的。名作『伊豆の踊り子』憑きの柳宜の話は普段の彼からは想像しにくい実は愛情深く切ないものだった。2016/05/05