出版社内容情報
スーツを新調しに来た客から人探しを請けた、貴族兼デザイナーのエドガーと仕立て屋ジェレミー。目的の人物を探るうち、毒死事件の関係者らしいことが分かる。ジェレミーは彼が持っていたある布地が気にかかり……。
内容説明
19世紀末、夏のロンドン。服飾業界で冬物の受注が始まる中、ジェレミーの仕立て屋にも、冬服の新調に訪れる客の姿が。店に居候する貴族にしてデザイナーのエドガーは、世間話から客が恩人を探していることを知り、探偵ごっこと称して調査を買って出る。しかし目的の人物は毒殺事件の容疑者として連行されてしまう!黙秘を続ける彼に困った警察は、ジェレミーとエドガーの元に彼が所持していた布を持ち込む。ジェレミーは、それが大手メゾンの防水生地で特注した何かだと見抜くが、果たして事件の真相は―?
著者等紹介
柏枝真郷[カシワエマサト]
1991年『時が過ぎゆきても』(光風社出版)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
56
ミステリーを楽しむというよりは、当時の風俗を知る手掛かりとして。ちょっと服の趣味の悪い末っ子気質のデザイナーとしっかり者のテイラーさんのバディもの。産業革命から時間がたち、染色技法も生地の種類も増えてより流行の移り変わりは早くなり、洋服はオーダーから既製品へ。それに伴って庶民もおしゃれを楽しめるようになった。そういう時代の雰囲気を楽しみながら読みました。この時代に作られたメーカーやブランドが今も現役なんですね。なんか当たり前のそんな事がとても新鮮に感じられました。薄色の喪服の彼女が登場する日は来るのかしら2018/02/28
カナン
37
シリーズ二作目、そして早々に華麗さを失い失速の二巻。事件簿でありながら犯人も動機も手段もすぐわかってしまうので肝心な謎解きに割かれたページが非常に間怠っこい。エドガーとジェレミーがばらばらに動きすぎて同居設定のメリットが無いのも辛い。産業革命の時代を過ぎてバーバリーやアクアスキュータムが台頭し始めるロンドン。シェイクスピアにヒントを得て生まれた「ギャバジン」が物語と要となるので、服飾業界や知識がある人だけ喜べるネタです。最先端を行く米国より懐古主義や血統主義が今も色濃く残るロンドンの風俗を軽く楽しむ一冊→2019/11/10
はるき
23
う~ん、皆して良識があって善意に満ちているのでちょっと痒いくらいだ(^_^;)当時の文化とか豆知識収集は面白いんだけど、事件究明に至るまでの枝葉が単調。雰囲気はすごく好きなんだけどな。2016/06/28
瀧ながれ
20
実在する土地やブランド、布地が、意味を持って物語の筋書きにつながっていて、それを読むのが楽しかったです。せっかく服飾を扱った時代劇なんだから、イラストがあるといいのにと、女性陣が集まる場面で思いました。2015/03/24
つたもみじ
18
シリーズ二作目。仕立て屋を営むジェレミーと、居候のデザイナー、伯爵家の四男坊エドガー・ノースブルック。今回もサクッと読了。ミステリーとしては前作よりも更に小ぶりになった印象…というか記憶に残りそうにないというか。19世紀末の倫敦。その様子。馬車や地下鉄、近代化されていく中で、取り残された浮浪者が道々に転がる。そんな時代背景と、メインのキャラクター達が当時の倫敦を生きている様子。仕立てや生地に関する蘊蓄は堅苦しくないレベルで面白かったです。アン…未亡人になっちゃったのかい。2015/04/08