内容説明
世界は電池で動いている―。そこは鉄道や自動車や家電が、電池で動くのが当たり前の世界。高校生の巧介は、まるで覇気の感じられない瞳を持つ小さなクラスメイト未来の存在が気になっていた。やがて未来と仲良くなった巧介は、彼女が重い疾患を抱え、電池によって生かされていることを知る。好きになってはいけない―そう理解しながらもお互いに惹かれ合っていく二人。しかしそれは、未来に残された時間を確実に削っていくことを意味していた。そして黄昏の空の色が、二人を優しく包みこみ…。第25回ファンタジア大賞ラノベ文芸賞受賞作。
著者等紹介
庵桐サチ[アンドウサチ]
神奈川で生まれ育ち、千葉で学び、今は静岡で働く昭和生まれ。第25回ファンタジア大賞、「電池式」にてラノベ文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
38
何事も電池で動くのが当たり前の世界で、高校生の巧介が重い疾患を抱え電池によって生かされている同級生の少女・未来と出会う物語。始めはただ生きるためだけの生活を送っていた未来も、友達とともに合唱に取り組む楽しさや、巧介と惹かれ合って恋することを知ってしまったら、電池交換でこれまでの人生の記憶が全て失われることに葛藤するのは当然ですよね。決断した結果として、二人はいったん別の道を歩むことになりましたが、将来を予感させる再会を果たせて良かったです。これからまた二人で新たに思い出を重ねていって欲しいと思いました。2014/09/04
なみ
14
何もかもが電池で動くようになった世界で、高校生の巧介が、電池で生きる少女、未来と距離を縮めていく物語。 恋をしてしまえば、命の消耗は速くなってしまうのに、それでも未来は、巧介は、お互いを好きになってしまって──。 残されたわずかな時間で、未来が選んだ道とは……?2019/05/12
さくら@2次元
8
ラブコメと読むなら、最高で感動しました。SFと読むなら、中途半端なのが感想です。電池で動く世界らしいですが、電池が出てきたのは未来関連の時ぐらいで、あまり印象に残りませんでした。祖母が素敵な人で、自分は将来、こんなおばあちゃんになりたいなと思いました。2014/09/10
マロ
5
タイトルに惹かれたものの、キャラも世界設定もふわっとしていた。難病を「電池」という身近なものに置き換えるという発想は良かったが、具体的な延命装置として描いたため、「電池だったらすぐ交換できるのでは?」という疑問がすぐに浮かんでしまった。一応交換に際してリスクが生じるという説明はあるのだけど、ストーリー展開のための言い訳に感じられてしまった。いっそ普通の難病ものの方が…と思わないでもなかったけど、それだとラノベとしてはケレン味なさすぎだしねえ。時おり生じる普通っぽくてちょっとズレた会話は個人的にツボだった。2014/10/04
yamamura
5
設定とか雰囲気はとても良かったように思う。でもこれは感動するやつだーと期待し過ぎて読んだのがいけなかったのか、いまいち読了感はよくなかった。個人的にはあんまり綺麗にまとめすぎるよりも無慈悲な終わりの方が心がえぐられて好きになれたかもしれない。2014/09/27