内容説明
千年にわたり永遠の雪原をただ歩き続ける異形の巨人ミール。人間の世界のすべては、巨人の背の上に作り上げられた都市だった。ミールとはなんなのか、どこへ向かうのか、知る者はいない。ミールの研究を続ける“変人教授”ディエーニンの助手オーリャは、ミールの外―すなわち人の住めぬ雪原でひとりの少女を拾う。「外」からやってきた彼女との出会いは、終末へと向かう世界に何をもたらすのか。そして巨人の歩みの果てに待つ光景とは…。ファンタジー史に残る傑作、著者全面加筆のうえ復刊!
著者等紹介
古橋秀之[フルハシヒデユキ]
1971年生まれ。1996年、『ブラックロッド』にて第2回電撃ゲーム小説大賞を受賞、デビュー。創作者集団「GoRA」にも名を連ねる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかむー
52
2007年に徳間デュアル文庫で刊行された作品の加筆修正版。千年の時を歩き続ける巨人の背中に作られた都市に生きる十万人の人類、主人公オーリャと謎の少女レーナの出会い、そして始まる終末と再生の物語。…とあらすじは壮大っぽいけれど人物の動機や情熱があやふや、世界設定も雰囲気はよいのだけれど背景や真実は明確にならずモヤモヤ。ラストシーンのイメージでかろうじて救われてるといったところなので、作者があとがきでも少し触れているが加筆の結果ページが倍になってもよいのでしっかり彫り込んでほしかった。『もうすこしです』。2014/08/03
harass
43
積ん読消化。ライトノベル。雪原の上を一年で52歩歩く巨人。その背中に10万人の人たちが生活をしている。世界とはそういうものだとみなは思っていたのだが…… この作家の作品で初めて見たので購入。よく知らなかったがリライトしたものらしい。300ページほどの薄い本で正直中途半端な終わり方をする。アイデアはまあどこかで聞いたものだが筆力は相変わらずだ。この作家は一時期名前を聞かなかったが最近ではアニメのノベライゼーションなどで活躍している。2016/07/14
七色一味
43
読破。1つの神話世界の、出○○記のような物語にも感じられた。とにかく、この物語だけで完結するのではなく、連綿と続く別世界の物語の一部、と言う感じ。終末に向かう様が、ちょっと掘り下げ足りないような気もします。あっさりし過ぎてる? 設定的にも、このページ数で収めるには薄くなりすぎるような設定ですし…。悪くない話なんですが、その部分、惜しいかなぁ。でも、とっても素敵な物語でした。2014/08/08
いーたん
41
破壊と再生。今、人類は間違いなく地球を破壊していることは誰の目にも明らかだ。資源の枯渇、環境破壊などさまざまな課題があり、地球再生は望み薄といえるでしょう。となると、宇宙進出が再生のカギになるのば自明の理。 さて、本作のように人類は再生ができるのでしょうかね。本作を読みながらそんなことを考えてました。2014/10/28
よっち
38
永遠の雪原が広がる世界を歩き続ける異形の巨人ミール、その上に作り上げられた都市に住む人々。そんな世界が終わりつつあるのをどこか感じていた主人公オーリャが、外から来た少女レーナに出会う物語。閉ざされた世界しか知らない人たちがその終わりを絶望と感じるか、新たなる未来への一歩とするか。選択することは難しいですが、その決断は今後に向けた希望に繋がるものでした。ページ数は少ないながら落ち着いた世界観やシンプルなテーマ、登場人物はきちんと描写されていて、あっさり読める割にはどこか奥行きを感じさせる、そんな物語でした。2014/07/15