内容説明
かわいそうなマルシュカは、ホレナ姉さんにいいつけられて、雪の山へ、スミレをさがしに出かけていきます。山の頂上には、たき火をかこんですわる、12人の男たち。「三月」とよばれる青年が杖をふりかざすと、たちまち森に、春がやってきたのです…。時に、おそろしいほどのきびしさをみせる自然の力を、美しくダイナミックに描いたスラブ民話をBIB世界絵本原画展グランプリ受賞作家により絵本化。5歳から。
著者等紹介
ニェムツォヴァー,ボジェナ[ニェムツォヴァー,ボジェナ]
チェコの女流作家。1820年ウィーンに生まれる。オーストリア帝国統治下のプラハで民族再生運動に触れ、創作活動を始める。チェコやスロヴァキアの各地で民話や伝説を採集・再話。チェコ近代散文の創始者に位置づけられている。1862年プラハにて没
出久根育[デクネイク]
1969年東京生まれ。武蔵野美術大学卒業。『あめふらし』(グリム/作、パロル舎)で2003年BIB(ブラティスラヴァ世界絵本原画展)のグランプリ受賞。『マーシャと白い鳥』(ブラートフ/再話、偕成社)で2006年日本絵本大賞受賞。2002年よりチェコのプラハ在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★Masako★
88
★★★★ 装丁とタイトルに惹かれて読んでみた♡ 美しく優しいマルシュカは、継母と義姉にいつもいじめられていた。1月のある日、二人からスミレの花を摘んでくるようにと家を追い出される。寒さと飢えで神の元に召されたいとまで思ったマルシュカだが、山の上で出会った12人の男たち「十二の月」に、救われる。出久根さんの絵がとにかく素晴らしい。季節ごとの自然の描写、特に厳しい冬の山の描写は圧倒的。大自然の力に感謝と畏敬の念を抱く者には、大自然は味方になってくれる。冬にぴったりの美しい素敵な絵本♡ 【図書館本】2020/12/15
ままこ
79
読友さんのおかげで思い出した懐かしい子供の頃読んだ民話。まま母達に理不尽なことを言いつけられたマルシュカは真冬の山の中で焚火を囲む男達と出会う。チェコ、スロバキア地方の美しくダイナミックで繊細な自然の描写が素晴らしい。絶え間なく降り続ける雪に覆われた森。香しく咲き乱れるスミレ、緑溢れる野に鮮やかな赤イチゴ、黄色に色づいた季節たわわに実るりんご。至る所に動物達が顔を覗かせてるのも可愛らしい。2018/01/20
モリー
60
表紙の絵に引き付けられるようにして手に取りました。出久根育さんが描いたものでした。継母からいじめられる美しい娘が、十二の月に助けられるお話。スラブ地方で知られる民話だそうです。自然の優しさと厳しさが出久根育さん独特の画風で表現された美しい絵本でした。出久根育さんの絵は、好みが別れるかもしれませんが、私は彼女の絵にとても惹かれます。2020/01/14
よこたん
44
“またたくまに火はもえあがり、雪がとけはじめました。木ぎはめぶき、ブナの木の下には草がしげり、ヒナギクのつぼみが色づき、そして春になりました。” そして手にする美しく香る花。今にも凍り付いてしまいそうな極寒の雪山での、夢のような出来事。どんなに辛い仕打ちを受けていてもも、礼儀の心、自然への畏怖の念は忘れてはならない。とても寒い吹雪の日に読むことができてよかった。子どもの頃大好きだったマルシャークの『森は生きている』とルーツを同じくする物語とまさか出会えるなんて。読友さんたちに感謝の気持ちでいっぱいです。2018/02/05
punyon
38
子供の頃、杖を振ると変わる季節に心ときめかせた懐かしいお話。表紙絵を見てどうしても読んでみたくなった(^O^) 文章は、もう少し何とかならなかったのか、今一つ納得できないところもあったが、この絵の雰囲気は素敵だ。特に1月の神がいい。意地悪娘のホレナもいい。心根が顔に出ると言うけれど、この目を吊り上げた表情は見ただけで「凍えて死んじまえ~」って思えてしまう(笑) こんなお顔にならないよう、私も気を付けようっと!💦2020/12/24
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