- ホーム
- > 和書
- > 児童
- > 創作絵本
- > 民話・神話・古典絵本
出版社内容情報
かまどの中で眠るためいつもススだらけのかま猫は、「汚ないから」という理由で、不当な差別を受ける。人間の心理をえぐる寓話物語。 小学校中学年から一般むき
内容説明
猫の事務所の書記の中に、一匹のかま猫がいました。かま猫とは、寒さに弱くて、夜かまどの中に入って眠るため、からだが煤で汚れている猫のことです。かま猫は、猫仲間のきらわれ者。事務所でも、ほかの書記たちにいつも意地悪ばかりされているのです…。大人の絵本。小学中級以上のお子さまにも。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
105
差別される側の悲しみを描いた童話。初出は1926年(大正15年)。宮沢賢治氏の童話では数少ない生前に発表された作品だそうです。黒井健氏が描くノスタルジックな絵は情感あふれています。舞台は猫の歴史と地理を調べる事務所。事務長のほか、書記として働ける猫はわずか4匹の狭き門。第4書記を務める〈かま猫〉は同僚たちに嫌われていました。寛容だった黒猫の事務長も、同僚たちが捏造した噂を吹き込んだので、かま猫を無視するようになりました。孤立したかま猫の瞳から、ずっと堪えていた涙がこぼれます……。1994年10月初版。2015/02/28
☆よいこ
96
絵本。絵が可愛いので読みやすい。かま猫とは、寒さに弱くて夜、かまどの中に入って眠るため、体がススで汚れている猫。猫仲間でも嫌われて、意地悪ばかりされているかま猫だが、懸命に仕事をしている。差別の不条理さと、差別される側の悲しみを描く。かま猫がかわいそう。獅子が必要。2020/09/30
keroppi
84
「蛙の消滅」に続いて、図書館にあった宮沢賢治の絵本。これは、嫌ないじめの話だった。無視するって最悪のいじめだね。宮沢賢治も、そういうことがあったのかな。2022/10/24
ひらちゃん
67
虐げられたかま猫を庇っていた事務長まで皆の作り話に同調してしまう。最近のイジメ問題が浮かんでしまいます。「僕は半分獅子に同感です」事務所を閉めてもいじめも差別も解決された訳じゃない。この言葉はこれからも考え続けなくちゃいけないと教えてくれてる気がします。2017/02/15
Smileえっちゃん
66
黒井健さんの絵に誘われて手にした図書館本。。差別される者の辛さ、悲しみを猫を通して問いかけている。有能であっても、見た目で差別されたりすることは、人間社会にもよくあること…窯猫の辛い気持ちが伝わってきますね。、悲しくなります。黒井さんの柔らかい絵に少し救われます。2020/09/27