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出版社内容情報
知恵遅れの青年、虔十は、一生に一度の自発的な意志で杉苗七百本を荒地に植えた?。人間の在り方を考えさせる傑作童話。 小学校中学年から一般むき
内容説明
いつも、木や鳥を見てはうれしがっているので、子供たちからばかにされていた虔十が、ある日、野原に杉の苗を植えて育てはじめました。小さな杉林は、やがて子供たちのよろこびとなり、虔十が死に、村が町になっても、変わらず残ったのです。みずからをケンジュウと表記することもあった賢治が自分の理想の人間像を語った名作を、“紙彫”という独自の手法を生かして、伊藤亘が絵本化。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
64
心に染みる名作。いつも子どもたちに馬鹿にされていた虔十。虔十はある日、野原に杉の苗を植え始める。なかなか育たない杉の木。だがその杉はやがて、人々の喜びとなっていく……。木や花を慈しむ虔十。純粋で無垢な虔十が愛おしい。そんな彼を温かく支える兄や父母の愛情も素敵だ。本当のさいわいとは。ラストの虔十の姿が微笑ましい。2022/09/18
ぶんこ
53
旅に出ると車窓から見える木々。蔦も絡まず、きちんと手が入れられているのを見るとホッとします。昨今は地球温暖化のニュースが増えたことで、森林の役割、雨の役割、水が滴って地を潤し、川となって多くの恵みを人に与えてくれる。その原点の大切さに気づく。そういう心境なので、この本の最後の言葉『雨が降っては、すき徹る冷たい雫を、みじかい草にポタリポタリと落とし、お日様が輝いては、新しい綺麗な空気をさわやかにはき出すのでした。』に感動して涙ぐむ。虔十さんの自然を愛し、友達のように思っている気持ちが伝わってきました。2022/10/05
ちえ
49
長岡輝子氏の宮澤賢治童話朗読CDの中になかで一番好きなお話が絵本になっていた。周囲から馬鹿にされてもひたすら杉の林の世話をする虔十。雨の日の杉の林の描写が美しい。虔十はいなくなってもその林は残り子どもたちに愛されている。余韻が残るお話。虔十は賢治の理想の姿なのだろうと思う。2022/06/26
chimako
36
研修のための予習だったが、少し泣けてあぁ良かったと思えた作品。人よりもボンヤリしたところのあるけんじゅう。頼まれればなんだって一生懸命やるのに、なかなか仕事場を頼まれない。そんなけんじゅうが杉の苗を欲しいと言う。兄さんと二人で植えた杉は時を超えてこどもたちに愛される。意地悪な大人は必ずいるがわかってくれる人もいる。よくわかるお話でした。2013/09/20
へいっち(ت)♪
26
子供達にバカにされていた虔十が杉の苗を育てる。それを見守る家族。意地悪をする人がいても杉林を守る虔十。亡くなってからは家族に守られやがて子供達の憩いの場となる。2014/05/14