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出版社内容情報
生計の為にやむなく熊を殺す熊うちの名人が、やはり、やむなく人を殺す熊の為に命を落とす??。賢治の名作を“組み木絵”で絵本化。 小学校中学年から一般むき
内容説明
ほかに生きていくてだてを持たぬがために、しかたなく熊を殺して生計をたてていた熊うちの名人が、やはり、人を殺したくて殺すのではない熊のために命をおとします。人間世界を修羅と見て、その克服を求めた賢治のこれは未完成ながら名作の一つ。これを、数10種類の木の肌合いと木目とを選んで絵の各部分をかたぬきし、組み合わせていく中村道雄独得の手法の“組み木絵”で絵本化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
73
毎日新聞の夕刊で知った作品。宮沢賢治は小学校の教科書にも度々取り上げられるが、私にとっては難解なものが多い。この物語は熊と熊を撃ち毛皮を売ることで暮らしを立てる男の心の中を語る。熊を撃つが熊を愛する小十郎。撃たれるのは嫌だが小十郎を嫌わない熊たち。愛する家族をコレラで亡くすも、年老いた母親と孫のために熊を撃たざるを得ない小十郎。勇ましいが毛皮を売るときはなさけない。一月のある日、初めて愚痴を言う小十郎。切なさが胸をつく。中村道雄の木目込画が素晴らしい。木が持つ厳しさと温かさが物語の陰影と真髄を語る様だ。2022/11/30
あーさん☆㊗️天久鷹央実写化!環奈ちゃん最高です!(≧▽≦)
67
絵が良い!2019/10/16
り こ む ん
26
人と熊の因果と縁。命を奪うことで、自分が生かされている人間の姿勢を学べる絵本。人は、自然に対し、敬い、畏れを抱いて行かなければならないもの。熊は言った「お前は何がほしくておれを殺すんだ」生きるために命を奪う。現実を目の前に猟師の心は、悲しみで彩られる。綺麗ことじゃなく、そうして生きて行く人間の姿と、それを受け入れた自然の姿のラストシーンが印象的だった。2015/07/24
なると
23
この作品にこめられた沢山のメッセージ性、なかなか解釈が難しいです。全ては私には理解しきれないが考えた。他に生きてく手立てを持たぬ為に、熊を殺して生計をたてるマタギの小十郎の<業>は彼個人のものではなく全ての人間のものといったところでしょうか。また、二年後に約束通り小十郎の元に死にに来た熊の行為を<慈悲>と言うのだろうか、この言葉で合ってるかもよくわからない自分。最後に山に入った日、小十郎は死ぬつもりだったのだろうか、死に顔が何か笑っているようように見えたのは安堵なのか。→2016/07/19
ポップ
17
なめとこ山で、熊を仕留めた小十郎。熊に近寄り、憎くて殺したのではない、商売のためだと言い聞かせる。街へ下りて、熊の毛皮と肝を売りに行く姿は、気の毒だ。豪気な熊取り名人の小十郎が、荒物屋の旦那の前では形無しになる。家族を養うため、小金にありつくしかないのだ。親子熊の会話を立ち聞きして、小十郎の良心を垣間見る場面が印象に残る。木組み絵で読むと、昔話のような色合いになり、感慨深い。2018/09/20