出版社内容情報
戦争中、10歳の少年は赤ん坊だった弟のミルクをぬすみ飲みし、弟は栄養失調で死んだ。子どもの目で戦争と飢えを淡々と描きます。 小学校中学年から一般むき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
80
戦争は爆弾で死ぬだけではない。特に弱い者は空襲で死ななくても飢えで死ぬ。本書に出てくる、幼い弟のミルクを飢えから飲んでしまった少年。その味を彼は忘れないだろう。シンプルな鉛筆画から飢えと戦時中の様子がよく伝わってくる。読んでいて思い出したのが「火垂るの墓」(野坂)。多くの国民が空襲と飢えで苦しむ中、【いい兄】でいることは難しい。明日は8月15日。本書を紹介するには今がいい。どうやったら戦争を後の世に伝えられる?中学校の国語教科書(光村)に採用されたことでも知られる。2020/08/14
サク
63
戦争は、人の心を不幸にする。善人を悪人に変えてしまう不思議な力がある。いざ戦争が始まれば、人間が死ぬ。食料がなくなる。家を失い路頭に迷う人々がさまよう。精神を脅かされ一生辛い心の傷を負ってしまう。人は皆冷たくなる。いじめを考える絵本『おおきなあな』と共感できる。食糧難から幼い弟のミルクを盗み飲みして、栄養失調で死なしてしまった弟への罪悪感という『おおきなあな』が一生消えない。何よりも戦争という『いじめ』に対する憎しみを感じる。この『あな』を埋める為には、二度と戦争を起こさないという私たちの決意が必要だ。2015/03/06
けんとまん1007
47
おとなになれなかった・・・戦争という時代。米倉斉加年さん自身の体験が描かれている。辛い辛い記憶。後悔。いろいろなものがある。何よりも、そこからくる決して大げさではないが、深く、静かで、大きな思いがそこにある。戦争という時代でなければ、きっとおとなになれただろう弟。そんな時代は、今、この世界のいろいろなところで起きていることを、忘れてはいけない。そして、そんな時代へ向かわせようとしている人たちのいることも。2015/03/17
かいゆう
33
ぼくや母の体が、あまりに細い。かわいい我が子、かわいい弟を亡くして、母と僕は罪悪感でいっぱいだったのだろうと思います。母として、こんなに苦しい事はありません。もっと早く戦争が終わっていれば…戦争なんて起こらなければ…。これが戦争。戦争ってこういう事。2015/08/14
Vakira
33
米倉斉加年の反戦絵本。しっかりとその意図は伝わってくる。自分の弟に対する愛情と、ひもじさで弟のミルクを飲んでしまう罪悪感。逞しく美しいお母さんも可哀想で見ていられない。戦争は悲惨で決しておこしてはらないと思いを強くする。2015/03/15
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