出版社内容情報
四大公害病のひとつ、イタイイタイ病。奇病から公害へ、萩野医師と住民、科学者たちの奮闘をえがく傑作ノンフィクション!
内容説明
神通川流域に発生し、ながく奇病とされていたイタイイタイ病、その真実を探求した医師・萩野昇と、住民、科学者たちがこの病が公害によるものだと企業にみとめさせるまでを地元新聞社の記者がとらえた。中学以上向き。
目次
1 イタイイタイ病との出会い
2 悲惨な病状
3 犯人をもとめて
4 ふしぎなめぐりあい
5 吹きすさぶ嵐のなかで
6 立ちあがる人びと
7 生命をかけた証言
8 世紀の裁判
著者等紹介
八田清信[ハッタセイシン]
1909年富山市に生まれる。富山商業学校卒業。富山新聞社会部長、編集局次長などを歴任。15年間にわたってイタイイタイ病の取材にとりくむ。1969年定年退社。1978年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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活字の旅遊人
5
前野ウルドさんの「バッタを倒しにアフリカへ」を読んで、自分の原点みたいなものを呼び覚まそうと、古本購入。萩野医師、もしくは八田記者に憧れたんだと思うけど、うーん。ごめん、小学生のボク。でも、三井金属側の学者みたいにはならない、ということは、達成してるよ!2020/11/13
peridot060708
2
1973年刊行のノンフィクション。奇病に苦しむ患者たちを救うため、真相を追い求めた萩野博士たちの戦いを描く。患者のほとんどは子どもを2〜3人産んだ女性たち。症状が進行すると全身の骨が折れ、くずれ、立ち歩きはおろか寝返りもままならなくなる。身体を少し動かすたびにイタイイタイと泣き叫ぶ。こんな苦しみに10年も20年も耐え続けなければならないなんてひどすぎる。ところどころに女性患者たちの写真が出てくるのだけど、カドミウムによって骨が縮み、小さくなったその姿に胸が詰まった。後半は涙をこらえながら読んだ。2024/11/28
ゆなし
2
二世代に渡る医師の謎の奇病とのたたかい。犯人が分かるまでに20年、その後、犯人が分かった後の裁判での10年程。向かい風の嵐の中を歩きながら大手の会社や国と戦うのは尋常な精神力じゃ無理だと思った。周辺の山を枯らし、農作物に被害を与え、人の体に異変を起こし、それでも、許されていた時期があったなんて到底信じられない。でも、今、こうやって環境保全の目を向ける社会になったのは、こういった公害に戦った人達のおかげ。感謝。イタイイタイ病で無念のなかで亡くなった方のご冥福を御祈りいたします。2021/07/04
さわな
1
イタイイタイ病関連の名著ということで借りたのだが、小学生高学年向けだったらしく読みたいと思っていた内容ではなかった。 患者の手記的なのを想像していたのだがイタイイタイ病の原因を突き止めた医師と、その後の裁判の話。 子供向けだからだろうが「イタイイタイ病、むごいだろー」「責任を認めないなんてひどいだろー」といった感じに感情の向くべき方向性のようなものがはっきり文章に書かれているんだけど、そこがわずらわしい。 今度はあらすじと対象年齢確認して借りよう。イタイイタイ病含めて公害被害者の手記的なのが読みたい。2024/06/04
Yosuke Hosomi
1
イタイイタイ病を発見し、偏見と闘いながら救済を続けた地元医師の記録。法制度も情報も不十分な時代、並外れた馬力での東奔西走した生涯は、現代にも多くの示唆を与えてくれる。2022/02/13