内容説明
死を間近にした少年サムがつづる「ほんとうのこと」日記。イギリス有名書店ウォーターストーンが選ぶ児童文学賞・最優秀賞受賞。読者評価最高点獲得の鮮烈デビュー作!小学校高学年から。
著者等紹介
ニコルズ,サリー[ニコルズ,サリー][Nicholls,Sally]
1983年イギリス、ストックトン・オン・ティーズ生まれ。日本、ニュージーランド、オーストラリアなどを旅したのち、イギリスに戻って大学で哲学を学ぶ。バース・スパー大学大学院在学中に本書“Ways to Live Forever”の原稿が大学院の賞を受賞、出版につながる。『永遠に生きるために』でウォーターストーン児童文学賞最優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
二戸・カルピンチョ
26
サムは白血病でもうすぐ死ぬ。人の死は、イモムシがサナギになり羽化するのと同じ流れなのだと、サムのおばあちゃんは話す。次の段階に進むのが怖くても流れは変えられないし、誕生も死もサイクルのひとつ。サムが知りたい本当のことを、友達や家族や先生に助けられヒントを得られただろうか。創作した物語とはいえ、同じ思いの子供達や大人達がいて、これを書いた当時の作者も、沢山の関わりの中で完成させたのだろう。静かで強い、楽しくて悲しい、清々しいお話だった。2017/07/01
ジョニーウォーカー
21
単に「泣ける」という言葉では片付けられないものがある。白血病に侵された少年が、死ぬまでの3ヵ月間を綴ったこの物語には、人生の素晴らしさも歯がゆさも、人の温かさも切なさも詰まっている。じつを言うと、英国の児童文学創作科の学生によるフィクションなのだが、読んでいるうちにそんなことはどうでもよくなる。ただただ「自分も生きなきゃ」と思えてくるのだ。執筆の過程で小児がん病棟に何度も通った取材の賜物か、野の水生氏による翻訳が上手すぎるのか。いずれにせよ、今年度トップ3に入る傑作であることは確かだ。読友推薦本。2010/10/30
tellme0112
10
いい話だったなあ。これも、小学生の息子に読ませたい…。急性白血病で亡くなったかたがいます。思い出しました。あっという間に亡くなりました。最後まで励まされた。程よい距離感が人間くさいエピソードもなく亡くなられただけかもしれないですけど。。。さて、綺麗すぎるできた話。本当は、書かれていない辛い時間があったろうな…そこは省略だろうな。まあ、怠いときはペンも握れないだろう、と思いながら読んだ。悪友、辛いときにいい存在だな。心の中に生き続けるんだな…2017/10/07
nutts
7
11歳の少年がこんなにも冷静で、大人で、真正面から自分の運命に立ち向かうほど強いなんてこと、あるわけ無いじゃないか、そう思いたがる自分は、すでにサムの両親となんら変わらないのかもしれない。瀕死の息子に「父さん、泣かないで。」なんて言われたら、もう。。。読み終わった後、そうか、サムが受け止め切れなかったこと、心底辛かったことは書かれていないんだ、と気づいて、また涙。2010/11/17
そら@真面目にダイエット中
5
誰も答えてくれない質問リストや、余命が短い自分の事以上に友達や親を心配する優しさ、自分より先に死ぬ友達、もう抗がん剤ですら効かない程癌が進行していると知った時の両親とサムの反応など、切なく悲しいストーリーですが、読み終わったあと、なんともいえない素敵な余韻が残ります。読んでいくと、色々なことを考えさせられる一冊でした。2009/05/18