出版社内容情報
直近までウクライナ大使(~2021年)を務め、ロシアとウクライナを熟知した元外交官が、両国の情勢と展望について解説する。
内容説明
前ウクライナ大使が解く徹底抗戦の秘密。ウクライナは西からロシアを見ている。日本は東から見ている。しかしロシアは常に両方を同時に見ている。日本人はこの戦争で何を得るのか。
目次
第1章 ウクライナとはどういう国か―国家としてのアイデンティティとロシアとの関係
第2章 ロシアの軍事侵攻
第3章 ウクライナの抵抗
第4章 ウクライナが見せた「覚悟」―国家の安全はいかにして確保すべきか
第5章 ロシアによるウクライナ侵攻と中国
第6章 ウクライナとロシア、そして日本
著者等紹介
倉井高志[クライタカシ]
元外交官。前ウクライナ大使。京都大学法学部卒業後、1981年、外務省入省。外務省欧州局中東欧課長、外務省国際情報統括官組織参事官、在大韓民国公使、在ロシア特命全権公使、在パキスタン大使を経て、2019年1月~2021年10月までウクライナ大使を務め、同月帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hiroizm
28
前ウクライナ大使によるウクライナ戦争についての一般向け解説書。両国の対立関係の歴史的変遷や、プーチンのウクライナ観と侵攻理由、徹底抗戦へと至ったウクライナ側の社会背景など俯瞰的論理的に整理されていて事前の予想以上に明快。侵攻に至る経緯、欧米各国や国連の対応と問題点、中国政府の対応の背景や分析もなかなか説得力大。ウクライナ情勢に興味があっても忙しくてなかなか追えない自分のような素人さんにお勧め。また日本の大使クラスの人が現代世界をどう見てるか?の参考資料としても読む価値十分と思った。2022/09/25
紙狸
19
2022年6月刊。著者は元外交官。19年から21年まで駐ウクライナ大使。その前は、在モスクワ大使館で4回勤務。ロシアのウクライナ侵攻の衝撃につき動かされ、元外交官としては思い切ったことを書いている。「力には力で対処するしかない」と。ゼレンスキー大統領を就任時から観察し、G7の大使の一員としてしばしば面会もした。ポロシェンコ前大統領に比べてゼレンスキーは当初、ロシアに対してはより対話志向だったという。しかし対話は成果をもたらさなかった。ゼレンスキーもロシアについて学習したということか。2022/11/16
スプリント
11
まさかここまで長期化するとは。 大国ロシアとはいえ一国を自由にするのは困難であることがわかる。 ウクライナは大国の暴力に膝を屈しない。2025/01/19
めっかち
7
今次ウクライナ紛争についての優れた入門書。ウクライナの歴史から説きおこし、「プーチンはなぜ侵略をしたか?」、「今、日本は何をなすべきか?」まで論じられている。おかしな言説に騙されないよう、基本をしっかり抑えておきたい。2022/09/19
お抹茶
5
著者は前ウクライナ大使。歴史の中で形成された人間的な感情と,安全保障論というシステムの両面を見ている。ロシアをはじめ他国に支配や圧力をかけられ,それに抵抗してきた歴史的経緯でウクライナ人としてのアイデンティティは強固なものになり,ロシア軍侵攻に対する不屈の抵抗を可能とする精神的基盤の重要な要素となった。ゼレンスキーのロシア観は「ロシアに対する譲歩は譲歩では返ってこない。逆に一層強い姿勢でやってくる」という確信。2022/09/01
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