内容説明
ロンドンの寄宿学校でくらすマイアは、列車事故で両親を亡くし、家庭教師のミントン先生とともに、ブラジルに住む親戚のもとにひきとられることになった。長い船旅のすえ、ふたりがたどりついたのは、ゴムの栽培によって富を手にした入植者たちがジャングルのなかに建設した美しい町だった。ヨーロッパの文明と圧倒的な自然が混在する世界で、マイアはしだいにアマゾンでの生活に魅せられていく。物語の名手イボットソンが、エキゾチックな世界を舞台にそのストーリーテラーぶりを遺憾なく発揮した会心の傑作。スマーティーズ賞金賞受賞作。
著者等紹介
イボットソン,エヴァ[イボットソン,エヴァ][Ibbotson,Eva]
1925年、ウィーンに生まれる。その後、ナチスの台頭によって家族でイギリスに移住。生理学を学び、科学者の夫と結婚したあと作品を書きはじめる。幽霊や魔法使いが登場するファンタジーを中心に、その奇抜なアイディアとウィット、たくみな語り口が子どもから大人まで幅広い人気を集めている。2001年に『夢の彼方への旅』によりスマーティーズ賞金賞を、2004年には『The Star of Kazan』でスマーティーズ賞銀賞を受賞
三辺律子[サンベリツコ]
英米文学翻訳家。白百合女子大学大学院修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かもめ通信
26
なんといってもアマゾンの自然の描写が美しい!各方面からお薦めいただいた作品は、児童文学の王道を行く物語で、確かに面白かったが、21世紀に世に出たことを考えると気になる点がないわけではなかった。毎度のことながら私がひねくれているということなのかもしれないが……。2019/10/07
小太郎
23
20世紀初めのロンドンから当時は未開の秘境アマゾンへ渡る主人公マイアの冒険談。はじめはありがちな展開とイギリスの児童文学特有の勧善懲悪な感じが?で捗らなかったけど、後半は一気に。アマゾンの描写が素晴らしい。最後も単純なハッピーエンドじゃなく余韻のある感じが素敵でした。2019/03/19
タカラ~ム
18
20世紀はじめのブラジル。ヨーロッパからの入植者によって開拓されたアマゾンを舞台に、ひとりの少女とふたりの少年が出会い、それぞれがそれぞれに持つ夢や経験や数々の苦難を乗り越えて成長していく。イボットソンが描き出す世界は、どんな時代でも、どんな舞台でも、読者に幸せを与えてくれる。マイヤが、フィンが、クロヴィスが、そしてミントン先生が、それぞれに幸せな人生をおくれますように。夢のある素敵な未来がありますように。2019/03/17
ぱせり
17
密林とモダンな都市が渾然とした不思議な空間に劇的な濃い冒険物語が良く似合いました。エイキンなど昔の児童文学を思い出してわくわくしてしまいます。必ず嬉しい結末が待っている、という絶対の信頼を寄せて読めるのです。小公子はじめバーネットの児童文学などもちらほらと仕込まれていて楽しかった。2010/04/17
ヴェルナーの日記
9
文学批評的にいえば、この本は2つテーマを持つ。先ずは「コロニアル主義」。次に「ポスト・コロニアル主義」。これは主人公マイアの視点から言えば前者で、フィンから視れば後者に当たる。 通常、相反するテーマを取り扱っているので、最終的には来た場所に戻ることが定番であり、二人は別れる運命でハッピー・エンドはあり得ないのだが、そこはエンター・テーラーとしてのイボットソンの真骨頂であるハッピー・エンドにして、定式を崩している。しかし、それでもなお、2つの主義を同伴させながら物語を展開させていったことが絶妙だ。2013/03/31
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