出版社内容情報
ロンドンを舞台に、バレエダンサーとして天性の才能を持つ少年が、幾多の困難にぶつかりながら才能を開花させていく物語。 小学校高学年から
内容説明
その聡明な顔立ちも華奢な体つきもクリスタルはバレリーナになるために生まれてきた少女だった。クリスタルの将来は約束されていたはずなのに、皮肉なことに、半人前と思っていた弟デューンが、クリスタルの受けるべき賞讃をさらってしまう。バレエコンクールでもバレエ学校でも、クリスタルのライバルは心優しいデューンだった…イギリスを舞台に、それぞれの困難にぶつかりながらあえて、より厳しい道をめざすバレエダンサー志望の姉弟。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
87
読了して感じたことは、美内すずえの『ガラスの仮面』を思い出しました。もちろん人物構成や環境設定は全く違いますが、作品の雰囲気とか、エートス(精神)が似ている。甘やかせれて育った姉クリスタルと放ったらかしの弟ディーン。クリスタルが姫川亜弓で、ディーンが北島マヤみたいな。クリスタルは、ディーンの才能に嫉妬するが、ディーンは自分の才能に気づいていない。物語がクライマックスに達し、自分本位だったクリスタルの頑な心が、まさにガラス(クリスタル)のように壊れて、周りの人たちの気持ちを理解し、そしてディーンを認める。2015/03/01
ぶんこ
49
上巻から夢中になってしまい、夜明けを迎えるような時間になってしまいました。赤木かん子さんが「大人になってから分かる」と書かれていた意味が分かりました。弟への嫉妬がいたい。この辛さは大人のもの。若い頃に読んでいたら、クリスタルは単なる意地悪なお姉さんにしかみえなかったでしょう。バレエと音楽の世界で、厳しいレッスンに耐えていると成長できるのかな。最後にベッポーが劇場に興奮して現れたのには嬉しくなってしまいました。読んでいてフィギュアスケートの浅田姉妹を思い浮かべてしまいました。どちらも辛かったでしょうと。2016/07/12
アカツキ
13
下巻は姉クリスタルの話が中心。大人たちからちやほやされる弟デューンへの意地悪は変わらずだが、魔性の有名男性バレエダンサー・ユリの登場でクリスタルは骨抜きに…。弟いじめの過程で自業自得の目に遭ったり、ユリに見られて気まずい思いをしたり、最後には思わず弟をかばい、自分が何もならないことをしていたと気づくクリスタル。手痛い失恋も乗り越えて大団円!ベッポーに駆け寄るデューンのイラストカットが最高。就寝時間を無視して一気読みしたけれど後悔なし。面白かった。2019/12/10
舞
13
中学生、高校生の頃に読了。タイトルに惹かれ貸出。
カタコッタ
10
上巻では弟のデューンが、下巻では姉のクリスタルが中心に描かれている。少女ならではの揺れる心、才能ある弟との確執を感じながらもバレエへの強い情熱を捨てない強い心を持つクリスタル。読者の年齢と経験によっては色々な意見が聞こえそうであるが、今この年齢(既にシニア)になってクリスタルの気持ちが良く分かる。翻訳者後書きによればゴッテン80歳を過ぎて書かれた小説らしい。華々しい世界への憧れと挫折の物語を書かせた事は誰もが少女時代に訪れるもの。ゴッテンとしては書かねばならぬ物語だったのかもしれません。2018/10/13
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- 和書
- おちゃのじかんにきたとら