出版社内容情報
座敷童子の茶茶丸に出会った少女は、風に乗り飛んでいった先々で歴史に埋もれた人々を知る。東北の伝説をモチーフに描いた長編。 小学校高学年から
内容説明
ままもひと朝 ひと朝 ひと朝かぎり ふた朝 ふた朝かぎり…うすむらさきの雨ふり花が咲き乱れる野面に、寂しげな歌が流れる。座敷わらしの茶茶丸につれられてはるかな過去に飛んだユカは、雨のデンデラ野で、歴史の中に消えていった人たちと出会う。命の重さと、生きることへの愛しさを描いた物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
85
座敷わらしの茶々丸がずっと探してる少女を一緒に探すことになったユカの冒険と成長物語。でんでら野で美しく咲き誇る雨降り花とわらべ歌「ままもひと朝」に隠されたどうしようもないやるせなさ。茶々丸は優しいなぁ。じんわりと心が温かくなる読後感。こみねゆらさんの雰囲気のある表紙と挿絵が素敵。2020/07/09
mocha
65
現代っ子ユカと座敷わらしの茶々丸。出会うべくして出会ったふたりが、不思議なえにしに導かれて冒険をする。歴史と伝承がパズルのピースのようにカチッカチッと収まっていく終盤はわくわくした。遠野物語を背景に、少女の成長も描かれていて〈児童書のお手本〉みたいなお話だった。2020/06/13
はる
58
悩みを抱えた少女と、彼女と良く似た少女をずっと思い続けていた座敷わらしの物語。東京から父に連れられてやって来た古びた旅館。そこでユカは小さな座敷わらし「茶々丸」と出逢います…。素朴で優しい冒険物語。次第に繋がっていく様々な縁(えにし)が胸を打ちます。茶々丸の東北弁も可愛い。ふたりが風に乗って飛ぶシーンが素敵でワクワクしました。こみねゆらさんのリリカルな挿絵もいいが、個人的に主人公の少女は「千と千尋」の千尋みたいなイメージですね。2017/09/08
ぶんこ
45
古くて座敷童が出るという旅館に父と泊まりに来たユカ。そこで座敷童の茶々丸と出会います。父親が仕事で急遽海外へ行く事になり、ユカが一人で旅館に残り、茶々丸が探している「とりこ」という少女を探し始めます。茶々丸にとって「とりこ」は大好きな人間で、幸せになってもらわないと、河童の花坊の居る自分の世界へ帰れません。不幸せだとほっておけないのです。健気な茶々丸に手を貸すユカ。大風にのって江戸時代の「とりこ」のもとへ行く茶々丸とユカ。いじらしくて温かいお話でほっこりしました。作中のわらべ唄は本物の遠野の唄でした。2017/09/20
mntmt
31
良かった〜!こういう本との出会いがあるから、児童書読書にどんどんハマってゆくのです。こみねゆらさんの挿し絵も良かった。2016/03/12