内容説明
わしはうちへかえってこようと思う。どこって?わしの生まれた島、美しい島さ、60年も前に出たきりの…。誕生日のパーティで、おとなしいおじいちゃんがこういったから、家族は大あわて。で、孫のトマが、おじいちゃんと一緒に出かけることになった。60年も、ひたすらパンを焼いてきたおじいちゃんと、トマの、すばらしい休暇旅行がはじまった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
43
素敵なお話しでした。60年間ひたすらパンを焼いてきたおじいちゃんが突然旅に出ると言い出した。生まれ故郷の小さな島に行きたいというおじいちゃんと、孫のトマの素晴らしい休暇旅行。フランス・ブルターニュの穏やかな自然の描写が魅力的。島で出会うお転婆な少女ガエルもとてもキュート。おじいちゃんにはこの島で逢いたかった人がいたのです。ちょっと小粋なフランス映画みたいに爽やかな作品でした。2017/04/26
ぶんこ
41
素晴らしい作品でした。おじいちゃんの幼馴染ヴァランティヌおばさんの凛とした生き様と、亡き妻を愛し家族を愛しながらも「ふたりは一緒に人生を始めたんだから、一緒に終わりを迎えなけりゃ」というプロポーズの言葉には感動しました。娘夫婦に大事にされて、ただ静かに老いるだけの生活。不幸ではなく幸せな老後ではあるけれど、お互いが70歳過ぎだとしても、常にキチンと生活を維持する事の美しさ、楽しさにはかないません。「老いらくの恋」は素晴らしい。孫のトマが一人でおばさんを訪ねた勇気にも拍手。2017/05/08
tomatobook
7
60年パン職人を続けたジュリアンおじいちゃんが孫のトマをお供に生まれ故郷の島ベルイールへ帰るお話。今まで無口なおじいちゃんの意外な一面を知り、ますますおじいちゃんが好きになったトマ。ベルイールの大自然とおじいちゃんの思い出を想像して、豊かな気持ちになり穏やかになれる読後感。トマが一人でおじいちゃんのためにヴァランティヌおばさんの家に行く決断は立派。おじいちゃんの滑落事故にはびっくりしたけど、最後はホッとした。2022/01/11
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