感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
53
戦争が終わってまもない1948年、岡山の農村にも変化が押し寄せてくるが、子どもたちの生活は、まだまだ古い日本を引きずっていて、自然に囲まれて「わんぱく」そのものの日常を送っているようにも見える。その中にも哀しい出来事はあるし、戦争責任もふくめた大人の身勝手さを感じるシーンもある。短篇に分かれているが、登場人物も世界も共通した連作長篇として読むべき。最後のエピソードの明るさにホッとする。「金持ちにも有名にもならない」ごくふつうの人々を描いて、しかもここまで読ませてくれるのは、徹底して子ども目線だからだろう。2020/09/10