内容説明
フランダース地方を舞台にした少年ネロと犬のパトラッシュとの美しくも悲しい人生。ルーベンスの絵の下でのネロとパトラッシュの姿は永遠です。他に「ウルビーノの子ども」「黒い絵の具」を収録。19世紀人気女流作家ウィーダの名作の完訳です。小学上級から。
著者等紹介
雨沢泰[アメザワヤスシ]
1953年、東京に生まれる。早稲田大学第一文学部を卒業。英米文学を中心にはば広く翻訳をおこなっている
佐竹美保[サタケミホ]
1957年、富山県に生まれる。デザイン科を卒業後、上京。SF・ファンタジーの分野で多数の作品を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
5
児童文学の定番中の定番である本作だが、やはりラストは悲劇的過ぎる。これはウィーダ(マリア・ルーズ・ド・ラ・メラー)の作品の特徴とも言える。彼女は児童文学作家というより大人向けの長編作家という面が強い。 本書は「フランダースの犬」の他に幼い頃のラファエロを取り扱った「ウルビーノの子ども」と、黒色絵の具をテーマした短編小説「黒い絵の具」が収められている。2013/03/20
もこまま
3
悲しくて泣いてしまった。 かわいそうすぎる。もう少し死ぬのがおそいか 絵の勉強ができるとわかるのが早いかなら生きていく希望になったであろうに。 何もかもかみ合わなくて悲劇的。2013/05/30
ちゆ
3
「完訳版」という言葉に惹かれて読んでみました。以前、新潮社版を読んで涙したのを思い出しつつ。私はアニメを見てませんが、よく「泣けるアニメ」で最終回の場面が取り上げられてて、「徹底的に虐げられた弱くてかわいそうな少年と犬の話」をイメージしてましたが、ちょっと違った。ネロ少年が意外と野心家(?)であり、周りの人も極悪非道じゃない。ささいな掛け違いがあのラストへと繋がっていく過程が切なくて、話が分かってても号泣しました。文も読みやすかった。他に2編収録されてたけど、表題作の前に霞むかな。絵画好きなのね作者。2011/09/07
CEJZ_
1
1P13行。小さい頃にアニメで見た。ストーリーは知っている。ここ数年、ハイジにしてもパトラッシュにしても、商業的テレビCMでかつてのアニメの場面を部分的に見かける。それは当然、昭和生まれの人々の懐かしさをくすぐる。今一度、本で読みたくなった。本で読んだのは初めてで、本の種類は大きさや訳者のちがいなど、世の中にたくさんある。一行目をどう訳すか。書店や古書店で目についたものを比較したが、この雨沢泰訳の本がわたしにはしっくりきた。佐竹美保さんの表紙絵や挿画も。機会があれば、数多くある他の本も読んでみたい。2019/04/03
ピロリン
0
フランダースの犬。ウルビーノの子ども。黒い絵の具。3作品が収録されている。どれも面白かったが、なんといってもフランダースの犬。有名な作品だが初めて読んだ。固い絆で結ばれた少年と犬との物語、貧しいけれど、友がいた。夢があった。でも、やはり最後は悲しかった。ルーベンスの絵を観にアントワープへ行ってみたくなった。 ウルビーノの子、ルネサンスの巨匠、ラファエロの幼少期、その天才的なエピソードが描かれている。2022/01/31