出版社内容情報
九州の祖母山に伝わる、蛇神と娘の婚姻伝説「多弥太伝説」をもとにした、日本古代を舞台にした壮大なファンタジー。 小学校高学年から
内容説明
月の森の蛇ガミをひたすら愛し、一生を森で送ったホウズキノヒメ。その息子である蛇ガミのタヤタに愛されながらも、カミとの契りを素直に受けいれられない娘、キシメ。神と人、自然と文明との関わりあいを描く古代ファンタジー。小学上級から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
114
上橋菜穂子さん初期の作品。土着信仰が文明社会に飲み込まれる時、人はどれほどのものを失うのか。九州祖母山系に伝わる伝説をベースにした古代ファンタジー。「語り」という形式で進行するので視点が一方向になり、感情のやりとりがわかりづらくなるところはあるが、歴史と神話、少数民と趨勢といった上橋さんらしさがぎゅっと濃縮されている。男女の愛、親子の情、人のエゴ…様々なものが読み取れる深い物語だった。2017/06/25
雪風のねこ@(=´ω`=)
96
荻原規子さんの勾玉シリーズを思い出した。でも無慈悲に思えるカミの所業は鹿の王に通じる所がある。これは世界観ではなく、生死感が同じなんだと思う。カミとオニは同じだと言って良い。人の感じ方が、それを変えさせるのだろう…な。どちらが正しいとは言い切れまい。その繰り返しだからこそ、人が生き延びている証でもあるのだろう。苦しくとも。悲しくともだ。日々思わないだろうか?感じないだろうか?残飯として捨てられていく食物を。生命を蔑ろにする行為を。それはカミに毒の刃を突き立てている事に、同義ではなかろうか?2016/04/04
青蓮
71
上橋菜穂子の初期の頃の古代ファンタジー。一つの新しい文化の為に昔からの文化が消えてゆく。大きな流れに逆らえず、生きていくために大切なものを一つ喪わねばならない痛み。どちらを選んでも苦しい2選択…と、児童文学としてはかなり重たいので、読める世代はもっと上でもいける筈。やるせなく切ない読後感。上橋菜穂子らしさが感じられる作品。どこか「もののけ姫」と似ている。2018/04/02
papako
65
上橋さん初期作品。日本の大蛇との婚姻譚が元になったお話。脱神話時代の物語。無条件にカミを恐れ敬っていた時代から、人は自分たちで生きることを選んでいく。文章がかたくて読みづらかったけど、カミや闇への恐れと恋しいという想いにやれるキシメ、母の弱さにすがるナガタチ、絆として山白に息づいたタヤタ。三者三様の想いが伝わってきました。たまにこういうのもいいね。2019/11/12
ネギっ子gen
51
月の森に住む蛇ガミを愛したホウズキヒメ。その息子・タヤタを愛しいと思うものの、ムラの巫女・キシメの心は揺れていた。カミを封じ、稲田をひらくことを望む人々とタヤタの狭間で悩むキシメの決断とは――。土地のカミを封じるためムラを訪れたオニの子と嘲られてきたナガタチは、キシメと出逢い話し合うことに――。「守り人」作者が初期に描いた古代ファンタジー。作中に<この娘がただの話ではなく、おのれの魂を過ぎ去ったときにもどして語る、≪語り≫をおこなおうとしているのがわかった>という記述があり、上橋物語の原点を知った気が……2020/11/02
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