出版社内容情報
美しい黒猫をめぐる恐ろしくも哀しい事件「黒猫」、双生児の悲劇を描く怪奇ロマン「アッシャー家の崩壊」ほか、世にも怪奇な物語ばかりを完訳で収録。 小学校高学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
70
「黒猫」「アッシャー家の崩壊」以外は初読みの短篇集。難解なエドガー・アラン・ポーの心象世界をできるだけ平易な言葉を使いながらも、美しく硬質な文章で紡ぐ谷崎精二さんの翻訳。大渦に飲み込まれていく恐怖のように、ポーの描き出す心の闇に一気に惹き込まれ、感情のうねりは読者の精神を惑わせ、揺さぶり、悪夢のような世界を植え付けていく。起きている事象もさることながら、その最中にある人の内側にある狂気の恐ろしさにじっとりと纏われ、絡みつくような湿度を帯びたポーの真骨頂が堪能できる。2020/03/13
さか
6
黒猫 大うずまき ウィリアム・ウィルソン 早すぎた埋葬 細長い箱 アッシャー家の崩壊 計六話 私には読みづらかった。2020/11/04
アト
6
「早すぎた埋葬」は土の匂いがしてくる。狭い棺のなかで地上の足音を聞くところなんて想像もしたくない。精神的にぐっと引き込まれた。想像上の恐怖は実体験のそれを凌駕する、というのがおもしろいし、実際そうなんだろうと思う。恐れていたことが本当に起こったかどうかではなく、起こったと認識したかどうかで、現実は関係ない。「ウィリアム=ウィルスン」は、読んでいてオスカーワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」を思い出した。こういう結末は好き。2015/03/12
メイロング
3
人生初ポー。子ども向けだけど、まったく手加減されていない翻訳力が素敵。これで本を読むのが好きになったら、残りの読書人生は平坦ではなくなりそう。オチより、そこに至るまでの濃密な描写にむせかえる。1巻は怪奇の巻なのね。幽霊ものではなく「生きている人の持つ闇こそ怖い」という視点を、ここまで料理してみせる腕は流石の一言。2011/01/13
肉欲棒太郎
2
小学校のとき以来の再読。やはり黒猫ですね。他の話も素晴らしい。人間の内面的な恐怖について書かせたらポーの右に出るものなし。2015/04/18
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