出版社内容情報
いじめっ子のニルスは小人にされ、ガンの群れとともに空の旅へ?。力を合わせて旅する中で、さまざまな出会いを通し成長していく。 小学校高学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
179
自然の描写がすばらしく、スンネルブーの荒地やコールモルデンの森を歩いている気分に浸れる。巻頭のスウェーデン地図を見ながらニルスの旅の跡を辿ると、美しい街や村だけでなく、役に立たない荒地や沼地や未開の森であっても、そこに生きる人や動物には大きな価値を持つことがわかる。この巻では猟犬《カルル》とオオジカ《灰毛》の話が心に残った。妻を殺された恨みから、森の樹という樹を蛾の幼虫に食わせる水ヘビ《無頼》の執念が恐ろしい。動物たちに名があり、互いに認め合って生きているのが、却って自然の仕組みのリアリティを感じさせた。2021/01/07
mae.dat
87
読んでて、若しやと思って調べてみたらbingo‼︎でした。丁度ライト兄弟に依る有人動力飛行成功から時間が経っておらず、その熱量を持ったままの出版だったのでは無いかと。 鳥の様に自由に飛びたいと言う普遍的な夢と、実用化はまだ先だけど、決して夢物語では無いと言う状況ね。ちょっとした興奮があったのでは?と予想。2020/09/13
翔亀
53
【2/4】原題は「ニルスの不思議なスウェーデン旅行」。南から北上してぐるりとこの国を一周するのだが、とにかく長い。なぜ長いかというと世界地図帳には登場しない小さな街や川や湖や山も紹介され、土地の自然や伝承が詳しく述べられる、まるで「風土記」なのだ。地図を辿っていくうちにスウェデーンに行きたくなってしまう。ナショナリズムの確立期の20世紀初頭に書かれた国民教育の書でもあるが、地勢と自然とそして鳥などの生き物の素晴らしさにによって、愛国心を喚起する。民族を称揚した排外的なナショナリズムではないところがよい。2015/03/14
Die-Go
43
図書館本。トムテ(小人)にいたずらをしたばっかりに魔法をかけられて、同じような小人にされてしまったニルス。そして、ひょんなことからガンの群れと旅をすることになり...スウェーデンの地理や人々の暮らしや昔話を楽しく紹介しながら、ニルスの冒険が描かれている。昔のアニメは忘却の彼方だが、このお話を読んでいるとアニメも見たくなる。★★★★☆2022/07/30
ワッピー
29
ニルスの旅はスウェーデンの歴史を追いながらスモーランド、セーデルマンランドと続く。アッカの群の中に居場所を見いだしたニルスは知られるようになり、助けを求めてくる動物も出るし、呪われた王や風の精とも遭遇し、群からはぐれてカラスやクマに捕まったりと大忙し。貧しかったスウェーデンが国土を開発し、産業を興して次第に豊かになっていく様子と併せて、開発の功罪として自然環境の破壊、動物たちのすみかを奪ったことも描かれます。雨のそぼ降る寒い夜、人恋しくなったニルスが群を離れて人間の家を見にいく気持ちが痛いほど伝わります。2020/01/02