出版社内容情報
地上と天国のあいだにある小さな村にすむ人びとの、7つの物語。ニューベリー賞作家の描く、愛にあふれたファンタジー。 小学校高学年から
著者等紹介
ライラント,シンシア[ライラント,シンシア][Rylant,Cynthia]
1954年、アメリカ、ヴァージニア生まれ。『メイおばちゃんの庭』(あかね書房)でニューベリー賞受賞
中村妙子[ナカムラタエコ]
1923年東京生まれ。東京大学西洋史学科卒業。児童むけの作品の他、ロザムンド・ピルチャーの作品など、多くの訳文を手がけている
ささめやゆき[ササメヤユキ]
1943年東京生まれ。版画家として活躍する一方、イラスト、絵本、エッセイの分野でも多くの著書がある。講談社出版文化賞さし絵賞受賞。『ガドルフの百合』で小学館絵画賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
60
【児童書】8作から成る連作短編集。人が亡くなった時、後にしてきた色々なものを振り返って『まだ死にたくない』と思うと『天国に近い村』の住人となる。神様と天使と天国の話。それぞれの見出しに聖句が引用されているが、宗教色は特に感じる事なくさらりと読める。1852019/06/07
ぶんこ
45
シンシアさんが描かれる神様や天使が好き。真夜中に陶工のもとを訪れる神様が可愛い。天国に直行せずに、その手前の村で暮らす人々。争いのない穏やかな村での毎日をおくる村人たちにはそれぞれ物語があり、切ないけれど優しい。私も飼い猫より先に急死したら、この村で自分に出来ることをのんびりとしながら、たまに猫の住む現生を訪れて元気な猫を眺めていたい。2019/10/29
けんちゃん
24
読友さんのご紹介。「いぬはてんごくで」と通じるところがある作品。この地上での生を終えた時に忘れていったものを取り戻すために過ごす村。ほとんど天国のこの村では、生きている時に叶わなかったことでも思いのまま。でも多くの人が地上にいる時と同じ自分でいることに満足しています。穏やかな場所、死んだらおしまい!ではなく、死の先をさらに生きる世界が静かに描かれています。何の解説もあとがきもないのですが、章のはじめ毎に記された聖書の言葉も、中村妙子さんが訳されたものなのでしょうか。2012/02/28
ゆか
23
天国に近い村とは、天国に直行しない人達のための息継ぎの場所。好きなのは、パンを焼くヴァイオレット・ローズの話。みじめな少女時代を送ったけれど、ウェイトレスとして働き、オーナーからパン焼きをまかされる。自分が交通事故で死んだ後、家主がローズの猫たちをそのままにしておいてくれたこと、レストランのオーナーは、ドア脇にバラの絵を飾ってくれたことを知り、自分を大切に思ってくれた人がいたことを知ることが出来よかった。ローズをひいたアイシャムが、ローズの隣に住み、友達になり、彼女を愛してしまう事は地獄よりつらいのでは。2020/12/21
杏子
23
人が死んだ時、天国に行く途中、中休みをするために神さまが用意された場所〈天国に近い村〉では、何かの理由があってすぐに天国に行けない人が住んでいるという。たとえば天国を信じていなかった銀行員のエヴァレットさんは、職業ゆえ何でも数えずにいられなくなった。クモの巣を見ても、クモの巣を美しいと感じる前に糸を一本一本数えてしまう。そんなエヴァレットさんが死んで天国に行く途中、クモの巣の美しさ心打たれた!神さまはそんな彼をすぐに天国に入れずに、天国の近くの村で時間の係にしたという……一遍一遍が心温まるお話。2020/11/16