出版社内容情報
「北風のわすれたハンカチ」の他「小さいやさしい右手」「赤いばらの橋」を収録。異界の住人との交流を描く傑作中編。神宮輝夫による安房直子と対談も収録
内容説明
安房直子初期の代表的な中編「北風のわすれたハンカチ」「小さいやさしい右手」「赤いばらの橋」を収録。くまの子やまものや小鬼のまごころを描く不思議なお話です。小学中級から。
著者等紹介
安房直子[アワナオコ]
1943年、東京に生まれる。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。「さんしょっ子」(第3回日本児童文学者協会新人賞)、『風と木の歌』(第22回小学館文学賞)、『遠い野ばらの村』(第20回野間児童文芸賞)、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』(赤い鳥文学賞特別賞)等、受賞作多数。1993年、永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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izw
13
安房直子さんの本は、ふわっとした雰囲気に浸ることができるのが気に入っていて、目につくと手にとっていたのですが、本人は1993年に他界されていたのをはじめて認識しました。1990年に収録された神宮輝夫さんとの対談を読むと、安房さんの本をまとめて読みたくなりました。2015/02/21
小梅さん。
11
本当に優しいお話たち。 音楽を習いたいくまさんと北風の少女の微笑ましい様子。ホットケーキは、そういうシーンにとっても似つかわしい。 2作目のまものの男の子と妹娘の姿が可愛らしかったのに、立ちはだかった継母が、その後どうなったのか。大人になった妹むすめが幸せそうなのが救い。まものくんも、よかったんだよね、あれで。 帽子からあこがれの少女を思い描いて崖をわたる子鬼くんが可愛くて楽しい。帽子の持ち主の少女もとってもいい子。 安房直子さん、大好きだわ。2017/03/08
ねじ
5
絶版の方の単行本を入手後、こちらの偕成社文庫版をブックオフで発見、入手。中身は同じだよなあ、と思っていたら、こちらには巻末に神宮輝夫さんとの貴重な対談が収録されていて、嬉しくなりました。安房さんの肉声に接することのできる資料がほしかったので、ホクホクしながら読みました。2018/12/24
sugar
4
「北風のわすれたハンカチ」「小さいやさしい右手」「赤いばらの橋」、絵 牧村慶子。3作共に主人公は優しい女の子に出会います。「小さいやさしい右手」が心に残りました。20年もかたきうちの事を考えていたまものの心をとかしてくれた優しい女の子の言葉。マリア様を思わせます。黒いまものはまものではなくなりました。お話しと優しい絵が合っていますね。2025/07/20
火星人碧
4
主人公がクマだったり、まものだったり、小鬼だったりするけれど、それらはどれもが子供なのである。子供に読み聞かせたら、こころをキュンとさせるのだろうか。そういう切ない物語が3篇。表題作の、ハンカチをそっと置いてゆくというさりげなさがとてもよかった。2020/09/21