内容説明
毎日、そこですごしているひとには、わからないのに、ふいに、よそからやってきたひとが気づく、そんなことがあります。この物語の転入生は、四年一組の教室で、いままでだれも見なかったものを、見ました。小学中級から。
著者等紹介
岡田淳[オカダジュン]
1947年、兵庫県に生まれる。神戸大学教育学部美術科卒業後、図工専任教師として小学校に勤務。斬新なファンタジーの手法で独特の世界を描く。『放課後の時間割』(日本児童文学者協会新人賞)『学校ウサギをつかまえろ』(同協会賞)『雨やどりはすべり台の下で』(サンケイ児童出版文化賞)『扉のむこうの物語』(赤い鳥文学賞)「こそあどの森」シリーズ(野間児童文芸賞)など受賞作も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
114
現代的な内容で最近書かれた本なのかと思いきや、1988年に刊行された本だそうだ。主人公の少年・始のお父さんがどうやら過労死しているらしい、という設定は今では受け入れやすいが、1988年当時どう受け止められたのだろうか。人は競争をしいられるけど競争に勝つってそんなに大切なこと?「がんばれ」って簡単に言うけど、なんのために頑張るのだろう?そういうテーマを掘り下げた上で、面白く展開するのでいろんなことを考えながら読んだ。びりにならないと見えないびりかっすさんが実は一体何だったのか、いろいろ考察する余地があるね。2021/02/13
zero1
93
一番がいればビリもいる。【頑張る】のはどんな意味がある?転校先の教室で、びりっかすの神様を見た主人公。わざと本気を出さない彼。何度も再読した。終盤のリレーは盛り上がり共感した。誰かに答えを与えられるのではなく、自分たちで考えて答えを出す。そこに大きな意味がある。先生が無能なのはお約束?教師たちはビリになった経験こそ必要だ。岡田作品は読者に考えさせ、何かを残す。児童文学だがブラックな会社に勤務している方なら共感するはず。次が700冊目の登録。
アナーキー靴下
79
著者の『二分間の冒険』が面白くて、こちらはお気に入りの方が読んでいて良さそうでずっと読みたかった本。図書館ずっと貸出中で、古い本だしそのうち在庫有状態になるだろうと思いつつ一年以上過ぎた。なので予約してやっと借りた。読んでみると大人気なのも納得。面白くて、ぐいぐい読めて、温かな感動がありつつ、深く考えさせられる、そんな物語だった。しかしいざ感想を書こうとすると、深く考えさせられる作品であるがゆえに、まったく纏まらない。本当に良い本だと思う。ただ、死んだお父さんを否定するようなお母さんはかなり嫌だった。2022/06/04
takaC
61
本気で取り組むことの大切さ。名作。2013/08/27
ぶんこ
58
過労死と思われる亡くなり方をした父。母は息子に「頑張るな」と諭す。息子「始」が転校したクラスには誰にも見えない「びりっかすの神様」がいて、始にだけ見えた。そこから始まった「ビリ」になると神様が見えて、同じビリのクラスメイトと心で会話ができる。このシチュエーション、小学生なら(自分も)と思ってビリになろうとするでしょう。クラス全員がビリになるのも凄いけれど、そこから(頑張る)と(本気になる)の違いに気付いていくのが素晴らしい。解説で憧れの赤木さんにここでお会いできるとは感無量。2017/12/25
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