出版社内容情報
精霊界と人界が混在する世界で、女用心棒バルサの活躍を描いた「守り人」シリーズ最新刊。バルサが謎の美少女アスラを助け、新たな闘いが始まった〈来訪編〉。アスラは神の子か、それとも災いの子か? 物語は、アスラが自らの恐ろしい力を発揮し始める〈帰還編〉へと続いていく。
内容説明
ロタ王国建国の伝説にまつわるおそろしき神“タルハマヤ”とタルの民との秘密とは…王家に仕える隠密カシャルたちが遠い昔かわしたロタ王家との約束とは…タルの美少女アスラは神の子か、それとも災いの子か。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
立教大学大学院博士課程修了。専攻は文化人類学。オーストラリアの先住民族であるアボリジニを研究。女子栄養大学助手を経て、現在川村学園女子大学助教授。文化人類学的視点を生かしたファンタジーを書く。著書に『精霊の木』『月の森にカミよ眠れ』(日本児童文学者協会新人賞)『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、サンケイ児童出版文化賞)『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞)『夢の守り人』(路傍の石文学賞)『虚空の旅人』などがある。2002年巌谷小波賞受賞
二木真希子[フタキマキコ]
愛知教育大学美術課程卒業後、テレコムアニメーションフィルムに入社。フリーを経て現在はスタジオジブリでアニメーションの原画を担当
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちはや@灯れ松明の火
85
ひとつの事実は見る角度によって違う真実を映し異なる歴史を紡ぎ出す。帰る場所も行く先も失った兄妹に重なる面影は、獣の如き目をした少女だった頃の己の姿か、一時を家族のように過ごした少年の面差しか。数多の民の平穏とたった一人の小娘の生命を秤にかけた時、理と情は異なる重みを告げる。猶予なく突きつけられた選択肢から始まる逃亡。どちらが善でどちらが悪なのか、正しい答えなど何処にもない。ただ、懐に逃げ込んできた命をその掌で包み込んだだけ。血に飢えた神の統べた歴史の影が、華奢な身体という殻の中で蠢き、孵化の瞬間を待つ。2010/10/27
R
80
神を宿した子供を巡る物語でした。神の力とも呼ぶべき、恐ろしい能力を得たばかりに、様々な苦難を強いられることとなった兄妹をバルサが匿い、守っていく物語。チャグムのときとは異なる、さりとて、親代わりのようにして子供たちを導いて、諭していく姿が大変魅力的でした。子供が善悪を身に着けていく姿、成長と呼ぶべき変化が丁寧に描かれていて、情操が培われる情景が見事でした。物語は次に続き、ピンチの最中で終わりますが、この巻だけでも楽しめました。2017/06/07
Rin
70
【図書館】今までよりも、より大人向けという感じ。神様は決して正義の味方ではない。人にとっては情け容赦のない、圧倒的な力と存在だし、思うように操ることなんてできない。また善悪についても、立場により見方は変わってくる。そんな風に感じながら、幼い子どもたちに降りかかる重たい責任と、事件に胸が痛くなる内容だった。それでも、バルサやタンダの存在が心強くて、子どもたちが流されないように踏み止まることができますようにと祈りたくなる展開。下巻が気になるところで終わってしまったので、すぐに読み進めたいと思います。2016/04/28
背古巣
62
ページを繰るたびに面白さが増殖して来る。最後の方は一気読みでした。今回はアスラが"神の守り人"ですね。でも今の段階では"鬼子の守り人"かな?次で神の守り人になっていくのかなと思います。この巻ではバルサの戦闘シーンは多くありませんでしたが、そこで傷ついたバルサがアスラを背負いながら追跡者から逃れていく過程がハラハラドキドキでした。2016/06/28
万葉語り
60
守り人シリーズ5作目。綾瀬はるか主演のNHKのドラマの原作。新ヨゴ皇国で虐げられたタルの民アスラとチキサを袖振り合っただけの縁で命がけで助けるバルサとタンダ。狩る側の論理もきちんと書き込まれていて、何が正しいのか考えさせられる良書。2019-0042019/01/03