出版社内容情報
好評「守り人」シリーズの外伝にあたる。新ヨゴ皇国のチャグムは、隣国サンガルで強国タルシュの陰謀に巻き込まれる。 小学校高学年から
内容説明
新ヨゴ皇国の皇太子チャグムが、シュガとともに向かったのは、ヤルターシ海のサンガル王国だった。新王の即位の儀に招かれたのだ。ところが、めでたいはずのお祝いの席で、新王は、傷つけられ、チャグムたちは、はからずも呪詛と陰謀の中に身を置くこととなる。小学高学年からファンタジーの好きな全ての人向き。
著者等紹介
上橋菜穂子[ウエハシナホコ]
立教大学大学院博士課程修了。専攻は文化人類学。オーストラリアの先住民族であるアボリジニを研究。女子栄養大学助手を経て、現在川村学園女子大学講師。文化人類学的視点を生かしたファンタジーを書く
佐竹美保[サタケミホ]
富山県に生まれる。「奇想天外」の仕事を皮切りに、SF・ファンタジーの分野で多数の作品を手がける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちはや@灯れ松明の火
84
かつて凍てつく天の高みから深い水底へと墜ちた貴き少年、けれど苦しみの中で触れた逞しい優しさが彼の心に宿り色染めた。海洋国特有の明るさと海賊を祖先に持つ抜け目なさを有する隣国を賓客として訪れた彼が耳にした、潮騒に紛れて忍び寄る不穏な騒乱の足音。守られてばかりの存在から、託された生命を知恵と力を尽くし守り抜く者へ、穢れなき強さの中に直情故の脆さが微かに滲む。遥か南洋の彼方に嵐を伴う暗雲の気配を感じつつ、若き為政者は己の信じる道へと旅立つ。空と海、決して触れ合うことのないふたつの青の狭間の輝きを心に映して。2010/10/10
Rin
83
主人公はチャグム。そして、しっかりと月日は流れているのだと実感させられた。また、新ヨゴ王国だけでない、この世界に存在するたくさんの国々。国ごとに暮らす人々の価値観も違うし、王の在り方も違った。外の世界に触れて、様々な人びとと関わっていくチャグム。事件を通して、心の強さや脆さも含めた成長が見られた。彼の側にいるシュガも大きな存在感で、これからも重要な役割を担っていきそうな予感がする。この本は主人公たち以外も、いきいきと魅力的な人物が多く登場し、彼らを通して色んな視点で物事を捉えることができるから楽しいです。2016/04/14
桜父
78
守り人シリーズ4冊目。新ヨゴ皇国皇太子「チャグム」は14歳になりました。南国の国「サンガル王国」の<新王即位ノ儀>に出席し、そこで起こる王国打倒の陰謀に巻き込まれていく。サンガル王国の真の舵取りは女性達が握っている設定は斬新でした。そこに登場する「カリーナ」「サルーナ」の王族女性の性格の対比が面白かったです。<ナユーグル・ライタの目>にされてしまった「エーシャナ」とエーシャナを助けようと奮闘する「スリナァ」のその後が気になります。一気に読んでしまいました。続巻も楽しみが増えました。2015/10/13
R
77
守り人シリーズ外伝。チャグムを主人公にした、国王記のようなファンタジーを堪能できました。シリーズを追いかけていると、チャグムの成長が目を見張るようで、頼もしくもあり、また若々しい正義が危うかったりしながら友情劇、青春劇よりも若い物語を楽しめました。皇子同士の友情が、川原で喧嘩してからの握手みたいな展開で、ベタなんだけど大変好ましく、少年たちの友情といってもよい熱い話がステキでありました。2017/06/06
背古巣
75
チャグムがかっこいい!児童書ではあるけれど底辺の大きなテーマは大人の話でした。子供と大人では登場人物に対する感想が大きく分かれるのではないかと思います。一つの国を守っていくためには小さな犠牲はやむを得ないのだと思いますが、ここが感想の分かれるところでしょう。カリーナ王女はその点で優れた為政者であるとおもいますが、完全には肯定できない部分がありました。チャグムの考えや行動は理想ですが、実際はカリーナ王女のようにしなければならないのかなあとも思います。うーーーん。自分で言っていることがよくまとまらないです。2016/06/18