出版社内容情報
木の葉が赤や黄にそまり、実がたわわにみのる美しい季節。天までとどく木々が森をつくり、そのあいだを川がゆったりと流れている。
あの日、子どもだったわたしは、じいさんと小舟にのっていた。
夕暮れに岸辺でたき火をかこみ、じいさんから森の動物の話を聞く。満天の星の下でねむり、早朝に起きて、また川に舟を出す。
朝靄をすかして見える動物たちのシルエット。やがて山の端から陽が差して、気がつくとわたしは黄金色の中にうかんでいた。
極東シベリアの原生林を流れるビキン川を舞台に、大自然の中でむかえる夜明けをドラマチックに描いた美しい絵本。
内容説明
原生林を流れる川を旅する老人と孫、大いなる自然の中で満たされるとき。
著者等紹介
あべ弘士[アベヒロシ]
1948年北海道生まれ。旭山動物園に飼育係として25年間勤務ののち画業に専念する。『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞と産経児童出版文化賞JR賞、『ゴリラにっき』で小学館児童出版文化賞、「ハリネズミのプルプル」シリーズで赤い鳥さし絵賞、『新世界へ』でJBBY賞、『宮沢賢治「旭川。」より』で産経児童出版文化賞美術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ベーグルグル (感想、本登録のみ)
54
子供だったぼくは、漁師のじいさんと小舟で出掛け、夜は焚き火を囲みながら森の動物たちの話を聞く。そして夜明け。静かな世界に生き物たちの息づかいと共に、自然の雄大さを感じる。無声映画を観ているような、静かなひと時を楽しみました。#NetGalleyJP2021/10/07
ちえ
45
柳宗玄、ユリー・シュルビッツ、 神沢利子、G.D.パヴリーシンの名前が挙げられているあべ浩士の「よあけ」。トラ、イノシシ、フクロウ、ヘラジカ、アビ・・・生き生きとした動物たち。そして夜明けの輝き。2022/09/19
ヒラP@ehon.gohon
43
小舟で川を下るふたりが、夜を迎え、朝を迎え、朝日が一面を染めるまでの自然描写が素晴らしい絵本です。 あくまで主役は大自然なので、小舟の点景は、探さないと判らないほど、微かです。 夜におじいさんが語る思い出話の無骨さと合わせて、とても雄々しい作品だと思います。2021/11/27
ネムコ
33
「絵本」「よあけ」というと、つい昔読んだユリー・シュルヴィッツ&瀬田貞二の「よあけ」と比べてしまう。絵と色使いはユリーの方が好みだけど、本書はおじいさんの昔語りが良い。そして後ろから三枚目の絵のインパクトがすごい❗ これだけでも読んだ甲斐があった。2022/09/09
anne@灯れ松明の火
33
新着棚で。極東シベリアの原生林を流れるビキン川が舞台。 自然の、夜明けの、美しさ、壮大さ、力強さを、抑えた色使いの場面あり、迫ってくる強い色使いありで、描き切っている。奥付には「柳宗元、ユリー・シュルヴィッツ、神沢利子、G.D.パヴァリーシンら先達への敬意と極東シベリアを流れるビギン川をともに旅した北方民族ウデヘの猟師たちへの感謝をこめて」とある。2021/11/21