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出版社内容情報
人間と暮らしたいと、すみかの島をひっぱって 鬼が村へやってきたが、こわがって誰も遊びません。しかたなく、鬼は隣村へいきますが?。 5才から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
267
山下明生・文、梶山俊夫・絵。創作民話。文体も語りかける調子で綴られる。随所に広島方言が混じるのは、著者の体験を反映するようだ。いつも誰かに受け入れて欲しい鬼。でも、誰からも忌避される鬼。そんな鬼の孤独を描くが、けっして交わることがかなわないだろう。読み聞かせで子どもたちに「みんな仲間に入れてあげましょうね」などと言うとすれば、それは違うだろう。表層をはるかに超えた孤独である。絵もそうした鬼のグロテスクさをよく表象しているし、民話調のお話をよく活かしてもいる。2025/02/18
KAZOO
137
あまり怖そうでない鬼なのですが、村人からは嫌われてしまって自分の島を引っ張りながらさまよっていくところは、心が痛みます。やはり昔は自分たちのテリトリーを侵すものに対してはあまり寛容なところがなかったと言えるのでしょう。子供用の絵本でありながら考えさせるものがあります。2016/11/26
陽子
52
「この絵本、泣けるよ」という友人の勧めで開いた絵本。ひとりぼっちの鬼は、誰か友だちがほしいだけなのに、人間から恐れられ遠ざけられ、欺かれる。人間の言葉を純真に一途に信じ、黙々と島を引き続ける鬼の姿が切なく哀れで、涙が出た。鬼にまつわるお話は、この手のストーリーが多いが梶山俊夫氏の絵がインパクトを強め、読み手は鬼の心情に同化していく。2023/02/19
chiaki
38
『鬼』のイメージを覆す、節分に合わせての紹介予定本。海に浮かぶ小さな島に、ひとりぼっちで住む鬼。毎日毎日さみしくてさみしくて、石を積み上げながら唄う様子はとても切ない。「おーい、こっちゃきてあそんでいけ!」鬼の呼びかけにも、人間たちはこわがるばかり。鬼を騙し追い払う始末。心地よい居場所と温もりを求めてどこまでも自分の島を引く不器用な鬼の姿に泣けます。2020/01/19
まま
32
登録もれ、この本を淡々と読んで聞かせる、読み聞かせ先輩がいて、大好きな本となった。淡々と読む事で余計に鬼への感情が引っぱりだされたような気がして、紙芝居読みにならない様に…と注意された意味がやっと分かった本。