出版社内容情報
19世紀のアメリカを舞台に、最下層の生活から、自由を求めて旅立つ少年と、彼が父とも慕う人物が狂人として扱われる歴史の現実を描く物語。 小学校高学年から
内容説明
ジップがなぜ街道に置き去られていたのか、だれも教えてくれなかった。少年は貧しい農場で追い使われながら、生きるすべと、弱いものをかばう強さを身につけていく。ある日、農場に送られてきた精神を病む男の世話をするうちに、男の美しい歌声に安らぎをおぼえ、いつしか男を父親とも慕うようになる。国際アンデルセン賞受賞作家が、「ワーキング・ガール」に続いて、近代アメリカ史の一端を描いた物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
joyjoy
9
色褪せた「アンクルトムの小屋」上下巻を母の本棚から借りて読んだのは中学生のときだった。自分が神さまについて知りたいと思うきっかけになった本だ。ジップも先生が貸してくれた「トムおじの小屋、いやしい人びとの暮らし」を読む。でも彼は、本や聖書からよりも、共に生きてきた弱いもの、虐げられたものたちの存在から、自然に神を知っていったようにうかがえる。ジップにフリーマンという名前が与えられたことが嬉しい。「すべてよし、すべてよし!」神さまはときどき思いもかけないかたちで、こうして語りかけてくる。ジップにも、私にも。2022/04/27
林芳
4
海外の小説の中には、キリスト教の影響だと思われるが、時々福音のような少年が出てくる。「秘密の花園」のディゴンとか。この物語の主人公のジップもそう。そしてそういう少年をあたたかく見守る大人がいる。そしてその大人も決して真ん中の道を歩く人ではない。自分の幸せ以上に人の幸せに心を寄せるジップ、その思いを著者パターソンが繊細に冷静に表現しているのがこの小説の魅力。2023/12/16
ガロ
2
幼い時に馬車から落ちて、農業の主人に労働力として働かされて育ったジップ。そんなジップのもとに、精神を病んだ男が農場にやってくる。ジップと男の交流がはじまる。ジップは奴隷の母親をもつ子どもであることがわかり、物語が進む。2022/05/28
marco
1
幼い頃、街道に置き去りにされた男の子の物語。 貧しい農場に送られますが、正直で働き者の彼は、自分の境遇でぐずぐず悩んだりしません。 最初の何ページか読んだだけで、この主人公が好きになりました。 わかる人には、ピンと来る題名です。 繰り返し引用される「すべてよし」という曲。 賛美歌のようですが、いくらネットで探しても見つかりません。 是非、この原曲が知りたいです。2011/03/24