内容説明
「三角のぷるぷるっとしたやつください。」雪のふる寒い寒い晩、屋台にきた厚いコートのお客はいいました。「三角のぷるぷる」って?山のふもとのおでの屋台『雪窓』には、ときたまふしぎなお客がくるそうです。今夜も提灯がともり、店がひらくとちょっとばかり風がわりなお客がやってきたようです。5歳から大人まで。
著者等紹介
安房直子[アワナオコ]
1943年東京に生まれる。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっこ』第三回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第十九回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第二十二回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第二十回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第三回新美南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠
山本孝[ヤマモトタカシ]
1972年愛媛県に生まれる。大阪デザイナー専門学校デザインコース絵本科卒業。「あとさき塾」「メリーゴーランド絵本塾」で絵本を学ぶ。現在東京在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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masa@レビューお休み中
130
わぁ、これは素敵すぎる!イラストがすごくかわいくて、おじさんも、たぬきも、少女も、みんな愛くるしい顔をしているんですよ。ほんのり不思議なお話もいいですね。『雪窓』とは、おでんの屋台の名前。その屋台を切り盛りしているおやじさんと、おでんが大好きになってしまったたぬきと、突然現れた謎の少女が織りなす、温かくて、ちょっぴり涙が出てしまう物語なのです。誰もいない、静かで真っ暗な夜に、おいしそうな匂いがしてきたら…。もしかしたら、雪窓のの屋台があるかもしれませんよ。2015/11/21
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
96
山の麓の村で、夜になると灯る提灯のあかり。親父さんが独りでやってるおでんの屋台。店の名前は『雪窓』。山には天狗や鬼や妖怪が棲み、時々奇妙なお客もやってくる。おでんの具の名前が覚えられない狸は『雪窓』のファンで、いつしか店を手伝うようになった。それは親父さんには嬉しい事だった。奥さんにも幼い娘にも先立たれ、独りぼっちだったから。雪がどっさり積もった晩、店じまいをしていると「ひと皿下さい」と女の声がした。赤いショールに身を包んだ顔をみて、親父さんははっとした……。幻想的でやさしい冬の絵本。2006年2月初版。2016/01/26
ふう
86
雪の夜は不思議です。雪が空から静けさをつれてきます。寒さと少しだけ温かさをつれてきます。歩いてきた道の記憶、遠い昔もつれてきます。もう戻らない幸せと寂しさをつれてきます。雪の夜は空に昇っていきたくなるけど、そばにやさしい友だちがいてくれると、心の中にポッと灯りがともり、ほんわかとした気持ちになります。2019/02/28
keroppi
69
図書館で見つけたのたが、これは借りて帰って読んだ。雪窓という名のおでん屋台。たぬきがやってきたり、自分の娘かと思われる雪女のような少女がやってきたり。山の景色の中に浮かび上がる屋台の灯り。おやじの悲しい過去。屋台でおでんで一杯やりたくなってくる。子供にこの世界わからないよね。2018/11/24
ままこ
68
「三角のブルブルっとしたやつください。」寒い冬おでんの屋台に来たたぬき。山には不思議なことがいっぱいあるということを当たり前のように知っているおやじさん。毎晩来るようになったたぬきを屋台の助手にすることに。雪がどっさり積もった日、後片付けをしようとした時に若い娘のお客が残っていて…。不思議でほのぼの、切なくも温かさが沁みる物語。風情あるタイトルが素敵。山本さんの絵が安房直子さんのお話にぴったりでした。2025/01/16
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- 和書
- ペドロ・パラモ 岩波文庫