出版社内容情報
奈良女高師に学ぶ恵子は、富本憲吉・一枝夫妻に会い新しい“人間”を発見、大きな影響を受る。やがて女教師となり結婚するが。 一般向
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
B-Beat
10
◎奈良での4年間を終え教師として新任地へ赴任する車中での回想で古都奈良での美しい仏像や壮大な建築と間近に触れ合ったことや生涯の師ともいうべき人物との邂逅、同級生の退学問題に当事者の一人として関わったことなどが語られる。そして赴任地の学校でのある生徒の失踪事件、幼友達というか親友との共同生活、求婚者の出現と実の父との確執。その間に育ての親である祖父、そして祖母との永遠の別れ。作者まえがきに是非とも書き残したいとあったがその思いが熱く伝わってくる読後感。 2013/06/26
柴モモ
4
恵子が教師となり新しい人生を切り開いて行くのですが、当時は女性がいかに弱く不当な立場にあったかと考えさせられます。家という制度や社会の中で阻害されたり、孤立しながらも強い意思で戦い、今の女性が何でもできる自由な日常があるんですね。実の両親との縁が薄く、理解し合える夫とも短い時間しか添えなかった中で、その後どう強く生きて行ったのかが気になります。2013/05/09