出版社内容情報
コロナ禍などの不幸な出来事が起きた時ほど、私たちは科学に正解を求めがちだ。しかし現実には、科学は100%の答えを提供してはくれない。そんな科学を生活に役立てるためのサイエンスコミュニケーションについて、身近な話題を通して解説する。
内容説明
ワクチン、原発、遺伝子組換え…。知らない人ほど怖がりすぎている。テレビやネットに踊らされないための科学リテラシー人気講義。
目次
第1章 エセ科学に惑わされないための「科学リテラシー」
第2章 科学への理解を促す「サイエンスコミュニケーション」
第3章 ワクチンはなぜ必要なのか?―新型コロナウイルスと科学
第4章 放射線はどれくらい怖いのか?―原発事故と科学
第5章 病気の原因はどうやって調べるのか?―狂牛病と科学
第6章 遺伝はどこまで影響するのか?―統合失調症と科学
第7章 科学に「絶対」はありうるのか?―科学とグレーゾーン
著者等紹介
石浦章一[イシウラショウイチ]
1950年石川県生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院理学系研究科相関理化学博士課程修了。専門は分子認知科学、サイエンスコミュニケーション。東京大学名誉教授、新潟医療福祉大学特任教授、京都先端科学大学特任教授、同志社大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Taka
12
科学リテラシーと何か?著者の答えは、確率的に物事を見ることだという。原発事故の時、直ちにえいきょうはない、等絶対的に何か起こると確定しないと断言できない社会。ワクチンを打つことは体にいいのか?悪いのか?確率的には、何割その可能性を上げることはできる。絶対はこの世にあり得ないが、科学的な知識を得ていることで、確率を上げることができる。花を見て、情緒的なことを答えるのが日本人のいいところではあるが、ありのままを見ている観察の目。また考えることが苦手な日本人。不安からくる曖昧さ。さてその恐怖、何%の確率で発生?2023/12/11
BATTARIA
10
出だしで予想がついてしまったが、ときには科学的真実が明らかになったところで何の意味もなく、感情が科学を圧倒してしまうことを必ずしも全て悪とは言えないことに、著者は気づいていないのが残念。この手の本によくある話だが、"科学より感情"という言葉の使い方が雑過ぎる。大学の講義をまとめたという背景を割り引いても、語りかけ口調のまま文章にしたのは、それこそ著者への感情的反発を招いてしまっている。「五千人に一人の確率でも、なった本人には百%だ!」と喚いている人には、エビデンスは確率論でと言ったところで馬の耳に念仏だ。2023/03/16
higassi
6
★★☆☆☆ 著者が娘の学校で講演をされるようなので読んでみました。「科学リテラシー」や「サイエンスコミュニケーション」の重要性を説く一冊ですが、ややその本質から離れて著者の主張が強まってしまっている感も。学生さんたちが読んですんなり受け入れられるのかちょっと心配。2023/04/29
aochama
5
日本では科学よりテレビやネットの軽い情報が支配的で悪貨は良貨を駆逐していることがままあります。その原因を科学リテラシーの低さに見出だし、サイエンスコミュニケーションを行うコミュニケーターの養成が求められるとします。サイエンスコミュニケーションを尽くした実例をあげた説明はわかりやすく、誤解されないことがわかりました。 正しく恐れるためにもエビデンスをもって、確率を用いた説明は必須ですね。誰もが発信できる時代、専門的な説明時には特に注意したいものです。2023/02/11
わら
3
文体は全体的にどうにも上から目線で、特に科学の素養がない一般人や政治家を露骨に見下す文章が多用されます。 気持ちはわからなくもないです。 著者は恐らく、これまで大衆や政策の科学への無理解に傷つき、うんざりし、もどかしさを噛み締めた経験を非常に多く持ったと思われます。 だからこそ、大衆に科学を伝える重要性に思い至り、こういう本を著したのでしょう。 だとしたら、本書の文体は著者の「感情」を隠せていません。 そしてその感情は、話を聞かされる大衆のうち少なくない者に、よくない感情を抱かせることになるでしょう。2024/08/08