出版社内容情報
風邪薬など市販薬を過剰摂取するケースが、若年層を中心に増加している。どうせ誰も助けてくれない――オーバードーズに至った「生きづらさ」の背後に何があるのか。親からの虐待やネグレクト、学校での孤立感……社会に何が足りないのか、どのようなつながりや支援が求められているのかを追う。
内容説明
どうせ誰も助けてくれない―。追いつめられた心の叫び。風邪薬などの市販薬を過剰摂取するケースが、若年層を中心に増加している。オーバードーズに至ったのはなぜか。親からの虐待やネグレクト、学校での孤立感、息苦しさ…心の痛みを自分で和らげようと、やめたくてもやめられない。「オーバードーズすることで生きてきた」人たちの声から、社会にどのようなつながりや支えが求められているのかを考える。
目次
1章 傷ついても がんばり続けて
2章 誰かのために 生きていく
3章 生きづらさ 追いつかない対策
4章 薬に頼っても 戻れる場所を
5章 「痛み」に寄り添うために
6章 支援への「入場券」
著者等紹介
川野由起[カワノユキ]
1993年生まれ。朝日新聞記者。仙台総局、さいたま総局を経て東京本社。子どもの虐待、社会的養育、ヤングケアラー、生活保護の扶養照会などを取材。NPO法人ASK認定依存症予防教育アドバイザー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃにゃころ
18
あ〜辛い、苦しい。親や大人のせいでしんどい思いをしている子がたくさんいて、その心の痛みを抑える為のODであり、生き延びるためのODでもあり、OD自体が自己治療であるなんて。読んでいて切なくて泣きそうになる。大人は「ダメ。ゼッタイ!」としか言わない。そんなのわかっているよね。じゃあどうしろと。この国は子どもに対して本当に冷たい。こども食堂にしても、民間がやっているのを国が誇らしく語る時点でもう終わってるよね。解決策らしきものも書いてあるけど、道程は遠そうで、めちゃくちゃメンタルがやられた。少子化にもなるわ。2025/05/14
kitten
12
図書館本。オーバードーズの現実。うーん、読むのが辛くなるような悲しい現実。なぜ、オーバードーズするのか?そりゃ、居場所がなくてつらいからだよ。その原因を放置して「ダメ、絶対」なんて言っても、じゃあどうしろと?となる。オーバードーズで死亡事故もあるけれども、本人、別に死んでもいいと思ってるのかも。どこか、支援につなげる必要あるんだけど、なかなか繋がらないよね。ドラッグストアにしても、売らないだけじゃなくて、支援につなげられるようなフォローしないとな。2025/05/28
へい
5
タイトルこそODを出しているけれど、生きづらさを抱えている人が市販薬で現実逃避せざるを得ないということで、薬品を禁止したり、流通量を絞ることでは根本的な解決にはならず、どうすれば防げるかということを、この本を通して考えなければいけないと思った。ゲートキーパーの育成は大事だし、数を増やせればとても良いのだけれど、逆方向に悪意を持った人間がいることも現実で、そういう分かりやすい方向へ行ってしまうというのが課題でそこの綱引きをどうするかだなと思う。薬剤師さんは尊敬しているけれど、なんでも押し付けられないと思う。2025/05/24
TOMTOM
5
「困った子は困っている子」の言葉を思い出します。オーバードーズする子どもたちの抱えている生きづらさをケアする必要があるのに、国の対策はいかに薬を売らないようにするか。それも大切だけれど、先日の大阪のグリ下からの排除など、そこを居場所ととれていた子どもたちはまたどこに流れていくのだろうか。家に居場所のない、大人を信用でいないそんな子どもたちにどうアウトリーチで関わっていくか、つながっていくか、難しい。一番は、安心できる場所=家であるべきなんだろうけど。2025/03/31
Go Extreme
2
オーバードーズという生き延びるための手段 誰にも頼れない孤独 死にたいと生きていたいの狭間 居場所を見つけられない子どもたち 消えてしまいたい 何も考えなくていい時間を作り出す 心の苦痛を体の痛みで紛らわす 孤立させない SOSを出しても助けてもらえなかった経験 オーバードーズパーティー ハームリダクション 有害性の低減 信頼できる大人 生きるための術 死なないこと 人とのつながりが不可欠 諦めずに支え続ける 誰かのために生きていく 薬物依存に対する偏見 安心して過ごせる居場所 回復への道2025/04/11
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