出版社内容情報
日本の食料自給率は38%──実際は18%でしかなかった! 有事における穀物支配国の動向やサプライチェーンの分断、先進国の食料争奪戦など、日本の食料安全保障は深刻な危機に直面している。本書は182か国の食料自給率を同一基準で算出し世界初公開する。先進国の「隠れ飢餓」という実態を暴く。
内容説明
人口爆発、気候危機、そして戦争―。加速し続ける人類の食料問題は、いよいよ「飽食」の日本を襲う!日本が食料輸入依存、農業弱体化に陥った背景には、占領国アメリカの思惑や、農地法などが絡み合っていた。本書は先進国の「隠れ飢餓」という実態にはじめてメスを入れ、国際市場やサプライチェーンを支配するフードメジャーの闇など、食料システムのいまを解説し、飢餓なき世界への道を探る。
目次
序章 飢餓未来年表と世界の食料自給率
第1章 飢餓の世界化
第2章 国民が知らない日本の「隠れ飢餓」
第3章 現代の食料システムの限界
第4章 飢餓人口シミュレーション
第5章 世界の飢餓対策
第6章 日本の「隠れ飢餓」脱出計画
著者等紹介
高橋五郎[タカハシゴロウ]
1948年新潟県生まれ。農学博士(千葉大学)。愛知大学名誉教授・同大国際中国学研究センターフェロー。中国経済経営学会名誉会員。専門分野は中国・アジアの食料・農業問題、世界の飢餓問題(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
31
有事における穀物支配国の動向やサプライチェーンの分断、先進国の食料争奪戦など、深刻な危機に直面している日本の食料安全保障。先進国の「隠れ飢餓」という実態を書いた一冊。世界各国のカロリー摂取事情を提示し、人類が必要とするカロリーと穀物の量を比較しつつ、世界の耕地70%を大規模農業経営者が所有していて、穀物輸出大国の動向に左右されること、世界の飢餓対策としてどんな取り組みがあるのか、その中で多くを輸入に頼る日本がどうすべきか。少なくとも農家に借りないと農業を始められない農地法はどうにかする必要がありそうです。2023/11/06
紫の煙
9
食糧の不公平分配の解決と、将来日本の飢餓への備えを主張する。先進国では、肥満と糖尿病が問題化し、多大な食品ロスが発生する一方、飢餓に苦しむ地域が広く存在する。地球人口が増加し、食糧争奪戦になった時、円安日本はどうなるのか。2024/03/20
Asakura Arata
5
地産地消が良いと思うが、農地法があるためなかなか難しいのかも。自分で作ったり、付き合いのある人が作ったものを食べられると楽しいだろうなあ。2023/12/16
ダージリン
2
最近ラジオでフードロスなど食料問題の話を聞き、このテーマに関心を持った。日本の自給率の低さは大昔から問題とされていたが、事態はなかなかに深刻で、日本のみならず世界的にも食料問題は深刻化することが予見される。取り返しがつかなくなる前に手を打たなければ。2025/01/12
chiro
1
今この国が「隠れ飢餓」の危機にある事を一体どれだけの人が認識しているのか。むしろ飽食の時代が続いていると思っている人の方が多いのではないだろうか。日本の農業政策がそこに従事している人たちを戦後の工業化に伴う労働人口の移動という形で減少させただけでなく、過剰生産の米国の受け皿とするために衰退させたというのはあまりにも愚かで本末転倒した行いであったと思わざるを得ない。しかし、「隠れ飢餓」が現実のものとなっている以上、著者の指摘する処方箋に政府は早く着手してもらう事を望むばかりである。2024/06/25